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第7章:その他

第2節:オサム記

第9話:「視」えない

新解釈の古事記


人間たちが代を重ねるに当たり、最初の頃に
「これ要らないから封印しておこう」と封印された能力とは例えば...

本当の本当に原始の、大元となるものならば、、それは神々の時代
つまりまだ日本列島が作られる前の頃だろうか。

人間どころか、神様しかいなかった頃までに遡るのではないだろうか。

人間(というか日本人)の元祖を辿ると国津神、
国津神を生み出したのはイザナギとイザナミ...

そういう所まで、あえて遡る。



そうするとどうだろうか。
例えば天津神たちでさえ「有ってもこれは要らない」と封印されるあるものが。

それは、原始の神々の顔ではないだろうか

古事記では、出現したけど、すぐに姿を隠したとされる、
「造化三神」

ミナカヌシ、タカミムスビ、カミムスビ、となる。

「姿を隠した」と記述されているので、それ以降は
「姿を見せる」という行為をしていないものと思われる。

何度か古事記ではタカミムスビ、カミムスビの二神は登場するが、
姿は視えずとも『声』が聞こえるだとかそちらのように思われる。

一番最初のミナカヌシに至ってはツクヨミと同様、
名前すら一度も出て来ない。


あくまで、可能性の問題だが、
原初の神々の姿を見る能力が封印されたのでは、と考察出来るかもしれない。

とは言え、その封印されているだけで、
姿を表せば、もちろん「見る」ことは出来るのだろうが
正しい姿ではなくあくまで「最適化された姿」なのだろう。

古事記では、ミナカヌシの姿が無記述なのは勿論、
タカミムスビが「大きな樹の姿」と書かれ
カミムスビが「紐のような姿」のような書かれ方をしている。

…本来なら、どの神でも同じであるように、
人型の姿をしているのではないだろうか。
人型の姿として描かれていないのは、
「視る力」を封印されているから、という可能性がある。

期せずして、本サイトの「新解釈の古事記」では

「第3章、第10話:秘密」
>そして ― ミナカヌシは透けていてあまり見えないのだが ― 立ち上がって

という部分と

「第7章、第2節、第1話:オサム記(1)」
>「この世で一番綺麗、、ミナカヌシより美しく・・・してみせます!
>ミナカヌシ知らないけど!」


という部分が出て来る。

ミナカヌシは透けていてあまり見えない存在になっており
国津神であるアメノウズメは
「この世で一番綺麗なミナカヌシ」とミナカヌシの容姿を表現し、
且つ
>ミナカヌシ知らないけど!
と言っている。

全く意図せずにこういう表現が出て来た訳である。

奥の部分は分からないけれど、
表面上だけのものを組み合わせると、
そこに隠される、或いは推測出来る奥の秘密が見えてくるかもしれない。

勿論確定とはいかず、推論の域を出ないものになるが。



さてここで、「原初の神々の顔を見る能力が封印されている」という
事柄について。

日本の神々、については
「仮定」として「造化三神」が挙げられるが
他の世界はどうだろうか。


中国なら、三皇と呼ばれる 伏羲ふくぎ女媧じょか神農しんのう―...

インドなら、ブラフマー、ヴィシュヌー、シヴァ、

ギリシャ神話の神々を引っ張り出せば、
カオス混沌タルタロス奈落ガイア大地の三神―...だろうか


それぞれ、『原初の神』を抜き出してみると、
不思議なことに、...やはり人型をしていない存在が多くある。

元々、人型の姿が全くないのか、
見る必要がないから人型の姿が見えないのかは分からないが、
視えなくされていると言えば、そうであるようにも思える。

カオス(混沌)、という概念はあまりにも曖昧で
人型はおろか、なにも思い浮かばない...

タルタロス(奈落)は地獄のことなので、
まず死なないと姿が見れないし、人型以前の問題であり、

ガイア(大地)は一生足の下にくっついている、
むしろ「見え過ぎている概念」なので
人型としての姿を見ることが仮にあれば、凄いエネルギーが
必要だろう。

寄り道になるが、
ギリシャ神話では、人間である女性が、ゼウスに「本当の姿を見せてくれ」と
お願いしたところ、神の姿をそのまま見せると凄まじいエネルギーになるので
それは無理なのだけれど、どうしてもと言うのなら...と
姿を見せたところ、その女性が焼け焦げて死んでしまうという描写が有る。




以上のように考察し、
仮に「原初の神々の姿が見えないように、能力を封じられている」とする。

あくまで仮定、での話になるが...


インドの原初三神の一柱、ブラフマー神にはサラスパティーという妻がいた。

日本で言う最高神ミナカヌシと同じ立ち位置にいるブラフマーは、
サラスパティーのあまりの美しさに、ずっと一日中彼女のことを見つめていたくて、
顔を四つに増やした、という逸話がある。

可愛くてきれいなサラスパティ、一体どんな顔をしていたのだろう。


第7章:その他「第2節:オサム記 ー 第9話:「視」えない」


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