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第6章:天子降臨

第1話:悩み

新解釈の古事記


初めは、葦原中国に、昔、剣を砕いて生んだ五柱の神々の長男「オシホミミ」を地上に遣わそうとしたアマテラス。

しかしオシホミミは「葦原中国にある物質、で母上(アマテラス)が神様を作れば良い・・・と
思います」
と言った。

透明と白の中間のような綺麗な空間。
アマテラスをぐるりと囲っているカーテンもさらさらとしとやかに白く輝いていた。

「葦原中国を統べる神なのでしたら、葦原中国の物(もの)を材料にして、母上が神を作ればいい。
きっと素晴らしい、統治者になるでしょう」
傍にいた次男のアメノホヒも言った。

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天気の良い日にアマテラスは葦原中国を天上から覗いてみた。
高天原よりも、ちんまりとしてはいるが、バランスがとても整っていて素晴らしい国。

宝物のような、父上と母上が創ったが、、そんな国。

「(この場所の、何を選べばいいんだろう・・・)」
アマテラスはしばし考え込んだ。


ふと、想像の中の優秀な弟たち、ツクヨミとスサノオが浮かんできた。


・・・「(彼らに頼んで、考えてもらうべきか)」


すると、何の前触れもなく、ある男神が横に立っていた。
アマテラスは少し驚いたが、名前を訊こうとする前に「あ、兄上?」と言った。



よっぽど、「この人がアマテラスの父です」と言っても違和感がないような、
偉いオーラというか、貫禄のあるどっしりとした雰囲気。

優しい、凄みがあるというか。

なつさんとはるさんの最初の子、「水蛭子(ひるこ)」である。

葦の舟に乗り、様々な常世の国(今の感覚で言うところの「外国」)を旅して
そこで恵比寿えびすという名前を授かり、様々な国で神として崇められている存在になっている。

アマテラスは思わず涙ぐみ、恵比寿に抱き付いた。
「お会いしたかった・・・
ひとりでどんなに辛かったか」


一番上はその上がいない。
アマテラスは一番上で、とても孤独だった。

「妹なのに、随分良く・・・まぁ(配分)10:7だし。
仕方ないよね」
優しく、明るく言う恵比寿。


少し心配そうな顔をする恵比寿。
空は少し桃色と肌色の中間のような色になっている。

「女は、甘えちゃ駄目・・・とは言われない。
でも。甘えちゃ駄目だ」

父上と母上から、最高神として任命されているのだから。
天上の神々も、全員・・・おまえが治めないといけない。
一番上は孤独かもしれないけど、女じゃないんだおまえは。

厳しい眼光を向ける恵比寿。
まるでスサノオにそっくりな、金色の殺気立った目。


秘密を吐く恵比寿。

1、「日」、つまり太陽を司る存在としてまず私が生まれるはずだった
2、しかし配分云々で失敗。
3、しかし「日」の子。「日の子」としての私はいる

4、おまえは「日の女」
5、つまり「日の女(ひのめ)」、大日女(おおひるめ)
6、太陽神はおまえだ

7、本当は男がなるはずだった
8、でも私(恵比寿)が失敗したから、次は女だった

9、日の子、「ヒコ」
10、そして「ヒメ」・・・日の女


おまえの地上の子の名に「ヒコ」を入れるといい。
今度こそ、「太陽の男」だ。

別に女なら駄目って訳じゃないけどね、と
そっと顔を逸らして心の中で付け加える恵比寿。


葦原中国に統治者を遣わすという噂は広まっている。
きっとその話を聞きつけたのだろう。


日の子(ひのこ)である自分の名前を入れたかったのだろう、、と
アマテラスは思った。

「(水蛭子(ひるこ)・・・日の子・・・ひのこ
日の女・・・ひるめ)」


第6章:天子降臨「第1話:悩み」


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