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第3章:神々の物語

第2話:禊

新解釈の古事記


なつさんは深い夢を見た後に、夢から覚めた。
すでに夜になっていて、少し驚く。


八尋殿(やひろどの)に帰って、しーん、とした邸内の静寂を感じ取る。
何処にもはるさんはいない。

そのうち、はるさんが空から飛んできて、
『現世に帰る許しが出たの』
・・・なんて言って
来ないかなぁ、と黄泉の国がある方角を見ながら座るなつさん。

少しだけ元気が出て、禊(みそぎ。体を洗うこと)をしようとするなつさん。


少し遠いが、オノゴロ島に禊をする場所がある。



やっと辿り着いた時、空が白んでいた。

服に、穢れ玉がたくさんあることに気付く。
「(これ(服)取っとこうかなぁ・・・)」
涙がポタリ、落ちた。

しゅんっ

裸になる前に、衣やら袴やら帯やら・・・
冠やら装飾品やら・・・

圧倒的な数の神様が生まれた。

呆気に取られるなつさんだったが
「穢れ玉」と「自分の涙、或いは汗」が合わさったものか・・・と思った。


「最後に聞きたい!
まだ私のこと愛してる?」

「そんなの当たり前でしょ!」

それを言う前にも、たくさんの穢れ玉が出ていた。

神を産むには、体液で以って強い念があってこそ出来るもの。


「そんなの当たり前でしょ!」

「そんなの当たり前でしょ!」

「そんなの当たり前でしょ!」

『こんなにあなたを愛してるのに!』

・・・

上を見上げると、ふわふわと・・・


バチャバチャと水の中に入り、禊を続ける。
とても静かな気持ちのなつさんであった。

そして、ずーっと神様は産まれっぱなしである。

「(はるがこれだけ強い思いで想ってくれてたなんて)」
全然知らなかった、と思うなつさん。

髪の毛をバチャバチャッと洗うと、
頭の上に何か乗っているような、何やらもったりとした感覚がする。

「(何かすごい神が?)」
と思い、顔を洗うなつさん。

何回か顔を洗ったのだが、妙に霧に包まれてるなぁと感じた。

何回か洗ったが、特に神様は出てこないので、スッと顔を上げた。

すると、濃霧だと思っていた部分が目の前に三つあり、
左の濃霧の中から髪の長い裸の女の子が出て来た。

女の子は、あっ、と急いで長い髪で体を隠した。

右の濃霧からも男の子が裸で出て来て、
スッと長い髪で体を隠した。

目の前の霧からは強そうな男の子が出て来て、
何も隠さずに裸のままで出て来た。

あまりの神々しさに驚き、
「誰だ君たちは!
個々のところに勝手に入るな!
な、名前は!」

なつさんは混乱した。

女の子は「私はアマテラス」
と言い、

落ち着いた男の子は
「私はツクヨミノミコト」
と、

そして最後に現れた男の子は
「私はスサノオ」
と名乗った。


第3章:神々の物語「第2話:禊」


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