パッツィ「テンション上がるわねーっ」
んーっと両腕を上げて柔軟運動をする。
パッツィは「オラクル総合学院、ホタル」の教師である。
レンレンがずっと落ち込んでいるので叱咤したところ、変な空気(叱った教師としょんぼりする生徒)になってしまった。
『カジノの街、コモドにでも行きましょう』
そうして、ここ「コモド」にやってきた。
煌びやかな光が舞う、幻想的な都市。
海岸都市でもある。
『あなたが落ち込んでいるのは分かります。
分かりますけど!(バンッ!とデスクを叩く)
周りの方々の迷惑になります。
暗い顔をして』
レンレンは暗い顔をしている自覚はない。
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え、ええっ?
鋭い声を上げてしまうレンレン。
パッツィ「抑え込むんじゃなくて」
忘れるようにするより、「あえて『それ』に触れてはどう?」提案である。
「声、が聴こえる「リンリンさん」と一緒に
確かめてはどう。思う存分やってらしたら」
レンレンも「声」が聴こえる。
リンリンも「声」が聴こえる。
ひとりでどうこうするよりふたりの方が・・・。
「人の所有物を取らないでもらえるか」
モロンのうっとうしい声が想像出来る。
ざざん!
遠くの、、遠くのコモドの海のさざなみの音が響く。
「(人をあやめた訳じゃないけど、、)」
唇をぎゅっと結び頭を振るレンレン。
す、過ぎたことはしょうがない
「おっす!」
パッツィとレンレンが振り向いた。
シャオイーにやけに口調が似ているソーサラー、「シンディ」である。
「鯛焼きを探してたんだけど、大判焼きしか売ってなかった」
遠くでふたりを見掛け、
全種類を買ってここに来たのだと言う。
『小倉あん、クリーム、ハムチーズ、チョコレート、マロン』
もぐもぐ
百歳茶(名物)を飲みながら大判焼きを食べる3人。
シンディは用意周到なので「これが足りない!」という事態を避けるため全種買ってきたのだと言う。
・・・
レンレン「ちょっと散歩行ってきまぁ~す」
タッタッタッ 走ってゆくレンレン。
魅惑的な景色は一瞬だけでも厭なことを忘れさせてくれる。
ピシッ!
サッと岩陰?に隠れるレンレン。
あががが
「(な、・・・!!)」
グランドウィザードの正装を着ているモロンだ。
「(うは・・・)」
言葉も出ない。
太古の昔に滅びた職で、勿論その職に就ける者はいない。
ウィザード(魔法使い)の重役?会議で立場のある人間たちが「正装」としてその服を着用する。
(着用だけ)
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リンリン「はぁ~ん。かかかかっこいい」 目を潤わせるリンリン(きもい
「うん」
サッとマントをひるがえし、コモドの秘密の洞窟に向かうモロン。
何故コモドにウィザードの秘密ギルドがあるのかは不明である。
リンリン「私が行くのは。。場違いです。やっぱり怖いです!」
パコンッ!(頭をはたいた)
「行くぞ」
リンリン「(何故・・・実力もない私が重役会議?汗)」
一貫して、重役の人間たちは上機嫌であった。
「海がとても清浄されて、神聖化されて
素晴らしくなって」
「やはり水だとか海がキレイになるのは良いものですな」
明るい雰囲気が漂う。
全員がグランドウィザードの服を着ている中、ひとりだけウォーロックの服を着ているリンリン。
「(初め場違いだと思って緊張してたけど、今は緊張が解けた代わりに、、何か複雑な気分)」
モロンがツンツンつつく。
ひそひそ
「だから、分かったろ。
幸せなんだよ・・・皆な」
・・・
ひそひそ
リンリン「それを分からせるために、、(説得力を付けるために)ここに来させたのですか」
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ああいう風に喜んでいる人たちがいるのなら、元は、、源は『幸せ』だろう。
ふんわり噛みしめるリンリン。
「はっ、恥ずかしかったんですよ!重役でもないのに!」
思い出したように言う彼女。
「ん。帰るぞ」
マントをひるがえしてゲフェンの街に向かうモロン。
風が気持ち良い。
空気が清浄されている。
ような気がする。
うんっ!
何となくガッツポーズを取り、モロンを追い掛けるリンリン。
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