桃色旅行記の目次
       

 

 

 

大人への



月夜。

遠くを見つめるレンレン。

脚をバタバタさせる。

どこかの建物の屋上。


風がないわね!

右手をスッと上げて 右から左にスッと動かす


スーッ


レンレンの、おろした髪がさらさらっ と風に流れる。


レンレン。

呪いで永遠の10歳の体になっている、強大な力を持つ少女。

冒険者としての職は「ソウルリンカー(霊魂使い)」。
このシリーズの主人公だ。


・・・

・・・


ジャリッ

ピクッと反応するレンレン。


「遅い」


そっと、足音が近付いてくる。

「来たわね」

スッと振り向く。


「アルフォンス」


そこには、黒髪のメカニック(鍛冶師系の最上位職)がいた。



月に重なる太陽

絶対神にひざまずくアルフォンス。

「遅れまして申し訳ありません」


「1分1秒だって許さないわ」

でも
あなたなら許してあげる


レンレン・・・

アルフォンスは憂いていた。

彼女は最近、すごく悲しいことがあった。

そのせいか、人が変わったようになってしまったのだ・・・。


顔を上げなさい!

そして今すぐ 夕食にするわ、、



あんみつがいいか?それとも桜餅?

あえて優しく言うアルフォンス。


フランス料理フルコース。

「それ以外要らない」


スタスタスタ


歩いて行くレンレン。



レンレンは思い返していた。

色んな国を巻き込んだ。

天も地も巻き込んだ。

何より大切な人たちを・・・


『あなたの娘さんは危険です!絶対に傲慢な人間にはしてはいけません!世界が滅んでしまう』

あの日のマーロウの言葉。

マーロウとは レンレンの力を見抜いた高名な神父である。



「(私は傲慢だわ!)」

目をつぶるレンレン。


自由に生き過ぎた!

自分の力を使いすぎて、、こんな天罰を、、


お父さん・・・

『それが天の意思だ。おまえを通じて天がそうしたのだろう』

ジョセフ・・・騎士。レンレンの父親だ。

お父さんはそう言ってはいたけど・・・


お母さん・・・?

『あなたの苦しみは、、良く分かるわ。でも、、過ぎたことはしょうがないわ。

これからのことを考えましょう?きっと、、良い事があるわよ。ね、レンレン』

エメライン・・・聖職者。レンレンの母親である。

お母さん、私どうしていいか分からないよ。


パパ、ママと言っていたレンレンは何処へ行ったのか。


「お父さん」「お母さん」


アルフォンスはレンレンの身近にいる人間である。
(一緒に暮らしている)

レンレンが、肉体的には呪いで10歳のままであれど、精神的には大人の女性への階段をのぼっていることを、、

気付いていた。



桜の花の中をきゃははーっと走り回っていた あの少女はどこにもいないのか。

あんみつ食うか、と言ったら「本当?」と目を輝かせていたあの少女は?



ガラス細工のお店で、見事な桜のガラス細工を作って、、妬んできた女の子に思いっきしパイをぶつけて顔をクリームだらけにさせてたあの血気盛んな女の子は。

(パイどっから出してきたんだろう)


いつか・・・

心が20歳になる日がくる。それ以上にも。

体は永遠に10歳なれど。


彼女はどうなるんだろうか。


「来たわね」

に対して

「仰せのままに」と相手が言わずにはいられない 存在になってしまうのか?


俺以外にも子分を作るのかレンレン。

奴隷や召し使いや・・・




その建物は、偶然にもレストランが並んでいる建物だった。


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食前酒を呑み、前菜を食べる。


はぐはぐ、という食べ方をするレンレンが大人しく食べている。

「レンレン」

アルフォンスが問い掛ける。

「俺ひとりでいい」

ん、と顔を上げるレンレン。


「何が?」

不思議そうだ。


優しそうに言う。

「子分だっけ。奴隷、、何でもいい
俺ひとりでいいよ」


レンレン「先のことは分からないわ」

ツンとして言う。



うん


彼女はもう、「(昔の彼女ではなくなっていっている)」


寂しさも、でも嬉しさも、、保護者的存在だから来るものだと思われるが

両方感じるアルフォンス。


いつまでも いつまでも傍にいたいと思った。

例えそれが、「(一方的なものであったとしても・・・)」


彼女はもう、空への一歩を踏み出しているような存在に思えた。

「(手を。手を離さないでおかないと)」


そう、深く誓った。



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