麗帆(リーファン)留守かー
雲に乗りながら肩を落とす美織。
「(こんな遅い時間に何してるんだろう
また呑みに行ってるんだろうなぁ)」
麗帆は酒豪である。
何かと言うとお酒を呑むのが好きだ。
それに会ったところで、お酒呑んでいたとしたらだけど
べろんべろんの麗帆に何かを聞いたりしてもなぁ。
少し肩を落とす美織。
美織は「実力も無いくせに」と言われて女仙たちから嫌われている。
花篠娘々になる器ではない、、と。
そもそも皆の憧れは「草露娘々」であり、
その上を行く「花篠娘々」は相当な位なのである。
美織もさっぱり分からなかったが、天帝が勝手に決めてしまった。
『強い瞳だ。
この朕でさえ射ぬかれそうな』
あの時、天帝は何かを感じ、「花篠娘々」の位を授けた。
当然非難ごうごうだった。
もし実力があったり、強いオーラがあったら
特に嫌われたりしなかったのに。
美織は更に落ち込む。
「(誰にも、、誰も。相談出来る相手がいない。
・・・喬一さんにはもうみだりに会えないし)」
・・・もう雲の住み処に帰って寝よう。
すっかり精神消耗して 住み処に向かう美織。
「(玄宗と鉢合わせ、、するよね)」
しないかもしれないけど
また気まずい思いするの嫌過ぎる。
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嗚呼、、誰もいない
ホッ
誰、と言っても 誰か居るとしたら玄宗しかいない訳なのだが。
そのまま自分の部屋の雲のベッドに横たわる美織。
「(何かどうでも良くなっちゃった)」
特に好きな人って訳じゃなくても、「人に嫌われる(親しい?人に嫌われる)」のって
すっごいきつい。
個人差はあるけど。
「(しかも原因がハッキリしないし)」
いや、きっと喬一さんと仲良くしすぎたことが原因か。
でもそんなので妬く人じゃないし、、今更。
喬一さん云々で悩んでいたのは玄宗も元々知っているし。
・・・
涙が出てきそう。
玄宗、、、
生前は強いウィザード系だなって憧れてた。
私も頑張ったけど、、全然駄目で。
努力しても、私とあの人じゃ
昆虫と恐竜みたいなものだったわ
尊敬してたのよ~
もう気持ちなくなっちゃったけど、尊敬する人と結婚出来て
そりゃ全然嬉しくない訳ないよ
確かに
喬一さんへの想いはずっとあるけど、、
パササッ
ドアを開ける音がした。
「(玄宗だ!)」
ドキドキドキ
どうせ、行ったところで「あっち行ってくれ!」みたいなこと言われるの分かってるけど、、
他人じゃないんだから。
他人だったら、「何か知らないけど嫌われちゃったんだな」って去るんだろうけど。
夫婦だったら他人じゃない!
ちゃんとこういうのは話し合うべきだし、そのままにするのは良くない!
勇気を出して ドキドキしながらそーっと足あとを立てないように玄宗の部屋に行く美織。
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