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女の手



腰が抜け、そのままどうしていいか分からなくなって呆然とするローグ。

(※ローグ=ならず者職)


胸からドキンドキンと すごい動悸がしてくる。


怖い

怖い

怖い

怖い

怖い



「い、い、一体何の恨みがあって、、」

やっと言えた。


「てめぇら、或る人に何をした?」

・・・もう、

「何年も、、何十年も前の話しだが、、」


眼光を鋭くし、サクッ サクッ と

砂漠の上を、一歩一歩踏み出す女ハイウィザード。



何したっつってんだよ



「ぼ、僕は、、何も」

本当だ! 俺は関係ない!

あれは俺 関係ない!



じぃ、、っとローグを薄気味悪い笑いを浮かべながら見る 女ハイウィザード。




怖がっているのに、構わずローグのすぐ近くまで行き、

彼のあごをクイッと持ち上げる。


こら

良く聞け



ローグは頭が真っ白だ




あのな、、、


分かるか?


やったことの落とし前ってやつはよ

必ずキッチリつけねぇといけねんだよ



「・・・・・・」

何のことを言っているのか

「(俺は関係ないって言ってるのに

俺関係ないのに!

俺は!

俺は!)」




微笑をして、サッと手をはずす女ハイウィザード。


ふうん、そうなんだ

随分優しそうな笑顔。



そうやって


「おまえはあの娘を、、見捨ててきたんだな」

ずっと



お、俺だけじゃない!


見捨てていたのは俺だけじゃ




・・・


哀しいような、虚しいような、怒りをこらえているような

何とも言えない表情で黙り込む女ハイウィザード。



ローグは、、後ろで倒れている仲間たちを見るのが怖かった。

現実を見たく、、ない



「あ、あなたは」


制裁を加えに来たんですか



黙り込む女ハイウィザード。



そして「くっ!」と目をつぶって下を向いて歯をくいしばった。



力を使ってはいけない、肉体に制裁を加えて、、そんなことは絶対にしてはいけないのに!

どんな人間に対しても絶対!

決して力で何とかしてはいけない


そんな私が

そうあろうとしている私が

こんなこと、、しちゃうの、、?



突然、彼女は 倒れている男たちをキョロッと見渡し、



ううっ


そのまま、うずくまってしまった。




・・・・・・


呆然とするローグ。



あの


「か、か、関係者とか、、そちらの方なんですか?」



ゆっくりと顔を上げる女ハイウィザード。


違う。

単純に義憤に駆られちゃっただけ



うううっ

ブンブンッ と頭を左右に振り、、


御免!

イグドラシルの実、たくさんここにあるわ。

これ使って。

(※イグドラシルの実=体力や魔力を全回復させる回復剤)


と言って、少し大きい袋を差し出す彼女。



何だか分からないが、とりあえず受け取るローグ。


「(弱々しい女の手、、汗)」


この女ハイウィザードは、先程 ギロチンクロスのグループリーダー的存在の人間を素手でぶっ飛ばしていたのだ。

(※ギロチンクロス=暗殺者の最上位職)


魔法も一切使わず、回復剤等も使わない

もちろん、武器も使っていなかった。



・・・


俺は今まで 女というものを見下していた。

弱い存在だと思っていた。


御免な



差し出された、弱々しい手。


あれを見て何故、男は 調子に乗るのか。


女は弱くなんかない


肉体的にだって。



御免な



イグドラシルの実が詰まった袋を持って、


そして遠いあの日の思い出したくない記憶を、、

思い出しながら、、


彼は 女 に懺悔をしていた。



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