メイリャン名物の料理を食べながら、梅桃桜山(メイリャンのやはり観光名所のひとつ)の山頂の東屋でくつろぐ、美織と玄宗。
美織「ねぇ玄宗」
玄宗「ん?」
モモチキ饅頭を食べている。
私ね、
と言ったまま
し~んとなる空気。
玄宗「そうか」
何かを悟ったようだ。
美織「・・・・・・」
玄宗「ちょっと、その辺を歩いてくる」
玄宗はスッと立ち上がり、スタスタ歩いて行ってしまった。
「(美織はどうしてしまったんだ。
あんなに心の弱い奴だっただろうか)」
しかし
「(本当に変な関係だな。
冥界の王に遣わされた麻薬のはずが、
それとは別に、潰すはずの相手に妙な感情を持つなんて。
さっぱり意味が分からない・・・
新しい運命が表れたか・・・)」
・・・
前世の頃からずっと一緒で
仲良くしていたふたり。
「(家族以上の存在になっているのだろう。
それが仕組まれたものだとしても)」
そんな「仕組まれたもの」が通用しないくらい長くずっと一緒にいて。
『喬一さんがすごく悲しそうなのよ!』
「(邪なものは感じられなかった
むしろ相手を深く思うような・・・)」
僕には何の力も無い。
僕に出来ることは何だろうか。
悲しみの淵にいる美織。
沈みながら、それでもあがかないのだろう。
美織。
僕は君の夫だ。
出来うる限り、君を支えていこう。
「ねぇ玄宗」
いきなり声がする。
いつの間に。
少し焦る玄宗。
ん?
振り返る。
美織は言った。
「あ、あ、、あ、・・・り、離婚、して欲しい・・・」
目をつぶっている。
「喬一さんのところへ?」
冷静に言う玄宗。
違う・・・
結婚て、こういうものじゃ、、もっとちゃんとしたものだと思うから
何か違うなって、、
そう思ったの
「駄目だ」
くるっと背を向ける玄宗。
玄宗は急に怖くなった。
「(・・・厭な予感がする。この人をちゃんと留めて置かないと)」
美織「でも離婚したいの!こういう形の結婚なんて変じゃない!
玄宗だってそう思うでしょ?
ちゃんと、、もっとちゃんと、、」
・・・
「(君のためにこういう状況になったんだ。元は。
喬一君のところに戻ったら、本末転倒じゃないか)」
・・・
美織、一体どうしてしまったんだ。
君という存在が分からない。
玄宗は心底疲れた。
「(生前の彼女はこんなに愚かではなかった)」
・・・
さすがに、空気を察して 先程の東屋に戻る美織。
・・・
東屋から見える、美しい景色。
メイリャン・・・
新婚地。
既婚者。
どうして・・・
何故・・・
「(こんなことに・・・)」
誰とも結婚なんてしたくなかった!
グッ!と両拳を握り締める。
・・・
ふー
すとんっ!
椅子に腰をおろし、ファミチキを食べる美織だった。
(この世界にファミチキあったんだ~ わ~!)
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