美織「・・・運命っていくらでもどうにでもなるものなの?」
答えられない玄宗。
メイさん、ほらっ!
虹色のチャイナドレスを持ってきた、あの日のライナスが思い浮かぶ。
メイさん、喜ぶと思って。
好きっしょ?こういうの。
川辺に座る、ライナスとメイチー(美織)。
(下界ではカタカナ表記)
「運命って言葉あるっしょ
俺ぁね、あれは嘘だと思ってるんです」
メイチー「嘘?」
ライナス「或いは、本当。
運命はある。
だが、、運命自体、空っぽの容器みたいなもんなんだ」
きっと。
だから、運命は、自分で注ぎ込むものなんですよ
空っぽの容器ですからね
ライナスは、容器に水をとぽぽぽと注ぎ込むリアクションをした。
メイチーは「空っぽ・・・」と目をぱちくりさせた。
ライナス「運命を作り出しながら、人は生きている。
自ら泥水の中に入り込む人
或いは泥水を生み出す人
暗黒地帯に入ってゆく人
沈む人をひたすら救い上げる人
・・・運命と共に、我々は生きている
俺は思うんです。
あなたはあまり幸せに見えない」
メイチー「え・・・」
ズキッとするメイチー。
ライナス「運命と勝負してない
違ってたらすいません」
元気になるように、先程のチャイナドレスをプレゼントさせてもらった訳です。
メイチー「・・・・・・」
ライナス「んはは、ちょい、キザだったかな?」
小意気に笑うライナス。
ハッ
何故今になってあの生前の思い出が、、、
美織「ライナスさんの顔を思い出しちゃった」
玄宗「ライナスさん?
ああ」
運命どうこう、って言っていたことがあったの
下を向いていた玄宗がそっと言う。
玄宗「あの人は『無限』。
極秩序。
・・・君の夫として最も相応しかったのは彼だ」
え、えぇ?
思わず体がのけぞる美織。
喬一のことで落ち込んでいる暇もない
玄宗「彼は、、『極大な秩序』、、いや
無限の秩序、、ともで言うべきか
秩序そのものだろう」
美織「(混沌の神じゃないの?)」
・・・
「屈辱だが。彼には勝てない・・・。
神がいるとして、神が「俺は神だ」と主張はしない。
それと同じことだ。
ライナスさんが普段ふざけているのは全部演技だ」
美織「だましているの?」
そうだ
神は演技をする。
自分が神だということを悟らせないために・・・
・・・・・・
ライナスさんが?
私の秘密を探っているときに「うんこ・・・」とか前置きしてたあのライナスさんが?
美織「あのぅ、、何か秘密でもあるの?あのライナスさんに」
玄宗「いや、単純にね、僕よりも君に相応しい男だったと。
印象に残っているんだ。
極秩序型っていう意味でね」
ああ、「取り込まれないタイプの人間」、てことか、、
納得する美織。
虚空を見つめながら玄宗が言う。
先程も言ったが。
彼は俺が唯一勝てないと、、思った男だ
美織「(おぉおお?)」
玄宗「秩序の塊だからな彼は」
違いますから!
混沌の塊ですから!
玄宗はびっくりした顔をして美織を見たが、
次の瞬間、「それがいい証拠だな」と言った。
・・・?
何が何だか分からない美織。
玄宗「人間であのローは 天界で言えば『天帝』に匹敵する」
・・・
・・・
玄宗「久々にライナスさんに会いに行ってみるか」
ハッとする美織。
(呆然としていた)
戸惑う美織だったが、「(気分転換になるかな?)」と思った。
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