美織は両手を上げて満面の笑みを浮かべた。
喬一「(うわ、、本当に嬉しそう)」
珍しく美織がナンチュンに勝ったのだ。
天界、崑崙山。
アルベルタから船で行ける崑崙とは別の、天界の世界内に存在する所である。
生前のハイウィザード、美織と、
下界と天界を行き来出来る 人間であり天人でもある、喬一。
ふたりは良くナンチュンという天界の将棋のようなものをやって楽しんでいる。
たいてい(というか、ほとんど)喬一が勝ち、
喬一「特に何も要らないです」
美織「そんな!勝って何も要らないなんて私が莫迦みたいじゃない!莫迦にしないで!」
こんな会話を繰り広げている。
「勝った方は何でも命令出来る」というルールがあるのだ。
久し振りに勝った美織は
「じゃ~、命令していい?」
引き続き満面の笑みで喬一に言った。
「どうぞ!」
喬一は少し苦笑する。
あのねぇ
美織「ドールハウスが欲しいの!」
ドールハウス?
喬一「ドールハウス?
何だろうか」
美織「えっとね 浴室とか、、寝室とか、、玄関とか、、あとトイレとか
お人形さんが住む部屋、、お家っていうか。
ミクロな家みたいな感じのやつなの」
喬一「ほほう」
美織「でぇ、高いやつは~ シースーワン(下界で言う1.4億)ぐらいするンだけど~」
喬一「シースーワン??」
落ち着いている喬一も思わず大きい声が出る。
呆気に取られていたが、
喬一「・・・ドールハウスがなんでそんなに高いんですか」
と冷静な意見を言った。
美織「下界のやつだったらすぐ買えるんだけど、
天界のやつは高くて」
喬一「天界にもドールハウスがあるのか!」
美織「天帝に頼んで、天界Versionをこの前作ってもらったのよ~」
「・・・・・・」
パパに買ってもらったの~
じゃないんだから。
喬一「・・・天帝にそんなに簡単に会えるものなんですか」
美織「ううん。天帝ってホラ、ちょっと変わってるでしょ?
人のこと言えないけど(うん)
で、意見箱みたいなものあったじゃない」
でぇ
「アレに、ドールハウス欲しいって
天界Versionのドールハウスがあったら面白いかも、って
ちょっと長めに書いたの」
それを天帝が見たと。
美織「真面目なこと書くと全~然相手にしてくれないくせに、
変なことを書くと採用してくれるって、、そういうのあるじゃない」
だから、思い切って書いてみたの
で、採用されちゃったから、、
是非欲しい!
喬一「採用されたのか!」
美織「うん。だから欲しい。買って。ねv」
喬一「うーむ」
美織「駄目? お願い買ってよ」
喬一「シースーワンは高い!」
ムッ!として美織が言う。
美織「えーっ お願いぃぃ」
喬一「駄目! 高い!」
美織「お願いお願いお願いお願い! 喬一さんのケチ!」
喬一「1/3くらいの金額なら何とかなるんだけどねー」
やや険悪な雰囲気が漂う。
このまま喧嘩するかに思われたが・・・
喬一が、沈黙の後に口を開いた。
喬一「じゃ、あることと引き換えにその意見を飲もう」
え? 美織は思わず立ち上がった。
美織「え なになに??」