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慈悲怒り



ねぇシャオイーさん、どちらを選ぶ方が吉と出る?


きゃうぅぅ~ん


美織「あらやだ、このこもお手上げだって」


エメライン「(その反応がお手上げなのね;)」


引き続き崑崙山中。


相手のために諦めるか、
自分のしたいようにする!か

どっちかよ。

と言っていた美織だったが、


エメラインの「自分のしたいようにする」が
ジョセフを選ぶこと

だとすっかり思っていたのに、

レオナルドを失うのが怖い、と言う。



美織「(紳士だから、、
細やかな心づかいとか、、
そういうところが良いと思ったのかな?)」

端々に見える、親切心とか、、

優しさ、、

包み込み、、、


そういうものが見えるけれど。



エメラインは本当に、「愛していない」のだろう。

だけど、その愛に 応えたい と思っているような感じで、

でも永遠に応えられそうにない自分に悲しみを感じている。


だから失いたくないのだろう。


愛せなくて御免なさい!

あんなに優しくしてくれたのに!

そう、涙する自分を知ってるから。


美織「(女心ってこういうもんよね・・・)」

複雑よね。男と違って。


でもその複雑さが周りを振り回すことも事実。


悪気はないんだろうけど・・・



美織「でも私はジョセフを推すわ!」

強い口調で美織が言う。


えっ と顔を上げるエメライン。


「アナタの気持ちなんてどーでもいいのよ!」

ビリビリした声が響き渡る。


エメライン「(えぇぇえぇぇ??)」


突然の怒声にびっくりする。


美織「ジョセフはねっ!一度捨てられてるのよ!

忘れたの?

あなたは二度も捨てる気??」


エメラインは目をパチパチさせる。


あのね、あなたの意志なんて正直関係ない!

あなたも、兄上も、
したいようにやってきたわ。

でも

ジョセフだけは他人の気持ちを優先してきた。


だったら、ジョセフの希望通りにするのが筋ってもんでしょうが!!


エメライン「(せ、正論だわ・・・)」


もう!

何でもかんでも人の気持ちを考えずに 自分の思い通りに、
自分のしたいように好き勝手に振る舞って!!


他人の気持ちを考えなさいよ!

他人がどう思ってるとか考えなさいよ!

たまには他人優先に動きなさいよ

分かった??


いつもなら「怖いぃいぃ;;」となる美織の怒りだが、

言葉ひとつひとつが何故か慈悲に満ちているようだった。




美織「あ、、、
でも。

兄上は、、
あなたのことを心から愛してるわ

確かにかなり好き勝手に振る舞ってはいるけど、、」


と複雑そうに言った。


エメライン「・・・・・・」

無言になるエメライン。


美織「だから、、どうすればいいのかな。
ちゃんと、、ジョセフにかえ、、せるのかな」


エメライン「あ、あの」


ん?

美織が考え込んでいた顔を上げる。


エメライン「レオナルドは、、何故私を、、好きになったのでしょうか・・・」


美織「さぁ・・・」

エメライン「え?」


美織「人を好きになるのに理由ってないからね」

え、えーと、、 困った顔をするエメライン。


美織「兄上も、、さっぱり分からないみたい」



頭の悪い女だな!・・・こんな女に夢中になるなんて
これが私の本性か。何て情けない!


あの日のレオナルドの言葉をふと思い出すエメライン。


何だかレオナルドに申し訳なくなってくる。



エメライン「(クリスティン・・・)」

ふと、同じ顔をした、かつての元祖アホのクリスティンを思い出した。

(そうだ。本当のアホはクリスティンで、逆転するかのように、エメラインがアホになったのである)


「(クリスティン、、、私と同じ顔をしているわ。
そして旦那さんと別れている。

そして私を想う、、想ってくれるレオナルド。

ふたりがもし愛し合うことが出来たら、、

運命がそう仕向けてくれたら、、)」


どんなにいいだろう。


そんな都合のいいことは起こらないか、、

でも、、

旦那さんと別れて実は傷心だって分かっているクリスティンちゃんと
レオナルドが、、もし、、、


エメラインは下を向きながら真剣に考えていた。



エメライン「(・・・まぁ、それは後のことで、、
私は、、ジョセフのところにいかに戻るかを考えればいい。
今はそうしないと)」


真面目に考えているようなエメラインに、
美織は一安心した。

同時に、


「(そういえば、、、ローザはどうなるんだろう;;)」

一番心配している人の身を憂いた。



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