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どこが



場所はゲフェン(魔法の都市)の「展望台」。


いわゆるところの「恋人同士のデートスポット」で有名なところである。



何で野郎ふたりでこんな所、、って言っちゃいけないけど 来ているんだろう・・・。


ふたりはそう思っていた。


ふたりとは、「レオナルド皇太子」と「ジョセフ」である。


気が合ってしまったのか・・・

謁見室などという堅苦しい場所ではなく、

のんびりしたところに行こう。

そこで話さないか、 ということになってしまったのだ。


さすがは「エメラインの夫」同士。


というよりは、「エメラインを抱え込める男同士」と言うべきか・・・


ふたりは何か気が合ってしまったようだ。


基本は「てめーには絶対アレは渡さない!」という本気の闘争はあったが、

元々相性?がいいのだろうか。


ジョセフも、レオナルドさえ諦めればもういい(子供のことは勘弁してやる)と思っているし、
好きでこうなった訳ではなく、彼なりに深い罪悪感を持っていることを、そしてそこからどうしても抜け出せなくて苦悩していることを知り、理解しようと諦めたのだ。


ジョセフ「そもそも、どうしてあのアホ・・・エメラインを好きになったのでしょうか」

レオナルド「さぁ。自分でも少し・・・」

ジョセフ「ふむ」

レオナルド「どの女も一緒に見えるのだ。でも、エメラインだけはひとつのブランドに見える。
何故だろう・・・」

ジョセフ「(まぁその辺にいない娘だからな)」


何となく分かって、苦笑するジョセフ。


レオナルド「変な部分、、変わった部分もあるのだが、
けれど、愛しいという気持ちは変わらない」


ムカッとするジョセフ。

元夫に言う台詞か!


無言のジョセフに、レオナルドは続ける。


レオナルド「あなたのことを大変お好きらしい」


そんなこと分かってるさ

自信満々のジョセフ。


レオナルド「でも、いいのだ。
彼女が誰を好きであろうと、彼女が傍にいてさえくれれば。
私だけが彼女を想っていても、彼女が幸せだったら

・・・幸せに出来るのは貴殿だと勿論知ってはいるが」


ジョセフ「(高尚な愛・・・)」


幸せに出来るのはジョセフ。

だったら、ジョセフに返せばいいのだが、

それでも、レオナルドは エメラインにすがった形になっている。


レオナルド「・・・矛盾しているな。
単純に、貴殿にお返しすればいいだけの話・・・」


ジョセフ「(うん。早く返して)」


同情作戦は通じないから。

僕はエメラインを返してもらうから。


たらたら無駄なことが嫌いなジョセフは合理的にサッサと物事を進めて欲しかった。


レオナルド「でも、貴殿はお怒りになるかもしれないが・・・
私の方が彼女を好きな気がする。
それは自信がある」


決め付けてるんじゃねーよ

ジョセフはイラッときた。


レオナルド「愛は本当に負けない。
貴殿がどう想おうと、、エメラインがどれだけ貴殿を想おうと」


ジョセフ「でも、、エメラインが好きなのは僕なんですよね」


・・・この野郎。

いとも簡単に。

折角深く、、こうして、、エメラインへの想いを話してるのに。

そう簡単に・・・。



「・・・・・・」

でも、こういう無神経さが何となくエメラインに似ている。

レオナルドは、何だかジョセフを憎めなくなってきた。


エメラインに似ているからか?


そういえば。


エメラインは「無害そうなところ」が好きになったと言っていたが、

ジョセフはエメラインのどういうところが好きになったのだろうか。



レオナルド「ひとつ、聞いて宜しいか?」


「?」

振り向くジョセフ。


レオナルド「貴殿は、、奥方のどこをお好きになられた」

ジョセフ「え」


レオナルド「いや、、少し興味が湧いてな。
差し支えなければ教えてくれないか」


風が吹き

雲がぶわあぁっとやってきて

蜘蛛や虫や 様々なものがわらわらやってきた。


近くの花々もさわさわ動いている。


ジョセフ「・・・」 レオナルド「・・・」


皆がまるで聞き耳を立てているかのように

ふたりを包んだ。


蝶々もたくさんやってきた。


ジョセフ「・・・・・・」



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