見ると、ベッドにはレンレンがいない。
「ッ??! レ、レンレン?」
慌てて辺りを見渡す。
窓辺にレンレンがベランダでぼーっとしているのが見える。
ホッとするのも束の間。
ふと見るとレンレンの周りに煙が漂っている。
「おい、何やって・・・」
見ると、レンレンがハッシシぽいものを吸っている。
レンレン「ん?」
くるりと振り向くレンレン。
アルフォンス「おい!不良かおまえは!」
さっとハッシシを奪う。
目をぱちくりするレンレン。
レンレン「?美味しいよ?」
子供が吸うもんじゃない!
っていうか大人だって吸わない!
かつての自分を棚に上げて、アルフォンスは声を荒げる。
レンレン「ふぅーん・・・」
つまらなそうに、レンレンが再度くるりと背を向ける。
その反応に不思議に思いながら、
そういえば大丈夫か?と聞くアルフォンス。
レンレン「大丈夫だよ。それよりさぁ」
アルフォンス「ん」
レンレン「私、寝てる時何か言ってた気がするの。何言ってた?」
言われてみれば何か言ってた気が、、
アルフォンス「アー、アー、アーッ みたいな」
レンレン「アー?」
ちくん、とする。
アルフォンス「ずっと『アーッ』って言ってたぞ」
喉の奥が酸っぱい気がする。
ごくごく、単純な言葉なのに。
変な感覚だ。
なんだ アーッ って
アー・・・
レンレン「何かを思い出しそう」
アルフォンス「ん?前世の記憶ってやつか?」
レンレン「んー・・・どうだろ、、」
ふうん。
アルフォンスは少し寂しくなった。
何となく置いていかれるような。
「そういえば」
思い出したようにアルフォンスが言う。
レンレン「あーっ!自分は私のハッシシ吸ってる!」
アルフォンス「ばっか。大人はいーの」
さっき「大人だって吸わない」
とか言ってたくせに。
信じら~んな~い!
腕を組んでレンレンが言う。
レンレン「これだから大人ってもう~~
嘘ばーっか付いちゃってさ!」
まぁ、大人はそういうもんだぞ
のんきに言い、美味しそうにハッシシを吸うアルフォンス。
ふんだっ
そっぽを向くレンレン に、
「あ、そういえば」
さっき
アルフォンス「そうそう、『パンテスト』って前に言ってたじゃないか」
ん?
突然の単語にきょとんとするレンレン。
アルフォンスも腕を組む。
そして首を傾げながら、、
「それ、、どこかで聞いたことがあるんだよな
どこかで」
レンレン「そりゃ、、本とか、人がしゃべってるのとか。
幻の職業として話題に上がっている時に、とか」
ん~と考え込むアルフォンス。
しまいには眉間にしわを寄せ出す。
レンレン「・・・思い出せないと気持ち悪いって顔」
ふふっとレンレンが笑う。
アルフォンス「どこかで、、どこだったのだろうか。うーん」
?
ひいお祖父さんとかが「パンテスト」だったとか?
レンレンが聞く。
「いや・・・」
考え込むようにして、下を向くアルフォンス。
黙って、そのまま窓際へ行き、ベランダに行く彼。
レンレンは「砂漠の夜は寒いのにぃ」と思っていた。
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