くわんくわんくわんくわん。。
レンレンは耳を押さえた。
アルフォンス「おー 蜃気楼が見えるぞ。小さいが」
モロクに来て数時間。
疲れていた割に、昔いたところだからか、楽しそうなアルフォンス。
そしてそれとは対照的に、青い顔をしたレンレン。
それに気付いて、
アルフォンス「おい、どうしたんだ。顔真っ青だぞ。大丈夫か?」
声を掛けるアルフォンス。
レンレン「だ、大丈夫。 暑いからかな」
丈夫そう?なレンレンが顔色が悪い。
非日常的な感じがしてアルフォンスは本気で心配をした。
アルフォンス「この砂漠の砂がいけないのかな。おい、宿を探すぞ」
ついっとレンレンを抱き上げる。
丁度、お姫様抱っこのような感じになった。
レンレン「あ、、重いよ」
それでも嫌がらない。青い顔はそのままだ。
アルフォンス「子供が重いかと。さーて、宿宿、、」
しばらく歩いていると音楽が聞こえてきた。
モロクの街に流れている音楽だ。
アルフォンス「懐かしいな・・・」
思わずつぶやく。
荒れていた頃にここにいた。
あの頃は毎日のように博打をやっていたな。
『このっ!不良アサシン!』
あの娘に殴られた想い出が懐かしい。
元気だろうか。
旦那とは上手くやっているのだろうか。
しばらく想い出にふけっていると、ひとつの小奇麗な宿が見えた。
アルフォンス「おい、いいところがあるな。レンレン、大丈夫か」
レンレン「ん・・・」
元気のないレンレンを抱き上げながら、そのまま宿に入った。
アルフォンス「すみません、大人2名、、じゃなくて、大人1名、子供1名なのですが・・・」
受付けの女性が振り向いた。
女性「あらまぁ、お客さんなんて珍しいね。はいよ。朝食夕食付きで3000Zenyね」
(※Zeny=この世界の通貨名)
アルフォンス「あの、この娘、、俺の連れなのですが、
具合が悪いようなのです。医者とか、、飲み薬とかあれば助かるのですが」
女性「医者なら外れにある所に住んでいるオズマンド先生がいるけど・・・
大丈夫かい?
飲み薬ねぇ。ちょっと待ってくれるかい」
女性は奥に引っ込んでいった。
レンレン「大袈裟よ。ちょっと寝てれば大丈夫」
アルフォンス「ばっか、子供が風邪をこじらすと大変だぞ」
レンレン「だからぁ、アルフォンスは過保護すぎだって、、」
その顔はまだ青い。
アルフォンス「もうしゃべるな。寝てろ」
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気が付くと、額に冷たいものがあてがわれていて、横に寝かされていた。
レンレン「っ・・・え?」
そのまま、思わず起き上がる。
辺りを見回すと、アルフォンスがうつらうつらしながら腕を組んで座っていた。
耳鳴りはもうしない。
「何だったんだろ??」
レンレンは不思議に思った。
そして収まって本当に良かったと思った。
ぼーっと窓の外を見る。
何か分からないけど、何かに呼ばれてる気がする。
女の人なのかな?
子供?老人?
・・・
私に何が出来るっていうの
また、、耳鳴りが来たらやだな。
うろちょろうろちょろ
部屋を落ち着き無く動き回るレンレン。
早くここから脱出したい
・・・
駄目!
駄目!
・・・?
何なんだろう、、これ。
そもそも「モロク行きたい!」って
何でアルフォンスに言ったの?私。
遠い 甘い 甘い・・・ 何かを思い出しそう。
両手で耳を塞ぐ。
吸引される思い。
・・・
「(今なら眠れそう・・・)」
くるっと向き直り、
そっとベッドに入っていった。