口外だなんて恐ろしい・・・』
何かを見抜いたふたり。
祈高台の老人は、下界で滅びた「台湾系」という人種である。
そしてこの人種は天界でもこの人ひとりしかいない。
古くを知る存在、ということになる。
とてもとても、古くを。
大昔は馴染みのあった「徳奏」。
知っているが故に、喬一を見抜いた。
徳奏仙人。
天界、地上界、冥界、地界、全てを統べる「王」である。
ただ、人間であるため四界全ての玉座に座ろうとすれば、
肉体(包むもの)も精神もはじけ飛び「存在」自体が消去してしまうため
天界以外では「最下位」に居ることでバランスが保てる・・・のである。
『く、位が高いという意味ではないの?』
もう存在しない、或いは「相応しい存在がいない」であろう、幻の位。
そして他の界では全て「最下位」である。
老人は何と言っていいか・・・と困惑してしまったのだ。
その影響で精神が4人分くらい伸びてしまった喬一は・・・
下界では「パンテスト」であるにも関わらず「徳奏」になれた、、という訳だ。
パンテスト=プリースト、の昔にあった(太古にあった)最上位職。
・・・
美織「(本当は玉清や天帝以上。それが分かって『喬一さんが怖い・・・』って思った。
あの祈高台の時・・・)』
美織「(どうせなら、って皆がやらないようなことや覚えなくてもいい知識を勉強したりして・・・)」
そして『徳奏』を知り、モンファ(巨大図書館)で思わず調べたのだ。
モンファの奥に眠る古代書は誰も読まない。
司書のクラリスとは仲が良く、快く奥の部屋に導いてもらった。
(普通こういうのは駄目なのだ・・・)
『いいの見つかった?
あ、あるといいねっ。
私も手伝う?
あ、いっか』
・・・
「(あの時のクラリスの声。
良く覚えてるわ。鋭くなってて。聴覚が)」
美織「(本当は『徳奏』のこと知っていたのよ。
知らない振りをしていたけど・・・)」
徳奏に叙された後は、
天帝も闇帝も冥王も配下につく。
つまり、
天帝は自分より上の存在を「就かせ」るのである。
『徳奏』に・・・
びゅうぅ
風が吹く。
私は冥王と繋がっている、
そして喬一さんは徳奏。
子供は作っちゃいけない運命だった。
決して。
運命自体おかしくなっていたのかも。
夢のようだった存在。
いなかったかもしれない。
「(幻よね)」
嘘よ
美織はぼうっとする。
カァカァカァ
天界にはいないはずのカラスの声。
・・・
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喬一「創ってみたよ」
白いカラスである。
ちょっと待ってね。
カチャッ
パタッ
「何だっけ、白いカラス?」
お皿を洗って喬一のところにやってきた麗帆。
動物が創れるらしい。天界で。
それで「白いカラス」を作ったのだという。
喬一「黒かったものが白いものに!」
闇→聖 の願いらしい。
そろそろ寝なくては!
喬一は早寝だ。
サッサと奥に歩いていった。
しばらくボーッとしていた美織。
鳥、鳴いてた。
空・・・
燃えるように赤く染まっていた空。
妖艶でもある、、悲しみでもある、、怒りでもある、、恋愛でもある
そんな空をずっと見ていた。
赤いカラスになってもおかしくなかった。
熱情の赤。
『お母様!』
確かな生命の息吹を
感じた。
『創ってみた よ』←喬一
・・・
合点が行く。
運命だな
熱情。
赤いカラスになってもおかしくなかった。
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