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ジョセフ



ジョセフ・ディオン。

彼は人の領域や、プライベートに踏み込まない。
それが家族や兄弟でもだ。

ただ、考えることだけはする。

丸投げにして「どうでもいい」と見捨てるような冷たい人間ではない。

(理想じゃないか)

騎士長の彼はロードナイト、ナイト(両者とも騎士系)の指南役であった。


二重人格とでもいうか。

普段はのほほ~んとしている優しい「鈍」な人なのに、

「そこっ!何話してるっ!!」と指をさして怒鳴る(すっごい遠くまで響く声)
そういう「敏」な部分もある。

報告書ものほほ~んと書く場合もあれば、

真面目に書かなければいけない場合は、

「どこの大学の論文ですか?」というような理路整然とした素晴らしい(というかお堅いというか)文章を書く。


ただ、これはあくまでパブリックの場であって、プライベートは一貫して
のほほ~んとして

エメラインは僕のこと大好きだから~、と蝶々を追い掛けるそういう人であった。

(忙しい人だ)


シャオイーとライイーの件を先日聞いた。


二重人格なきがする

激しすぎるんだよねー差が。

この場合ライイーさんか。


断定は出来ないけど

・・・

やや寒いか涼しいか、中間の風が吹く。


練兵隊の訓練の様子を見ながら何となく思い出す。


「教官、先程のA班の訓練は終わりました。B班はやや苦労しているようですがうんたら」

・・・

教官!!


ジョセフ「うん。B班は苦労しているか。ガッツです。と。C~E班は休憩。F班は・・・
難しいな。今日は帰らせて」


ロードナイト「(聞いてたのか!)」


一応。

A班=選りすぐり。精鋭たち。一軍。

B班=二軍

C班~E班=下っ端

F班=・・・


先程のロードナイト(教官、と呼んでいた人物)に声を掛けるジョセフ。

(勿論休憩時)

ジョセフ「ロデリック、二重人格をどう思う?」

ロデリック「?教官のことですか?」

ジョセフ「そういう人がいるんです」

ロデリック「そうですか・・・。自分が思うに、教官のような二重人格的、悪い意味ではないです。教官のような方は非常に良いと思いますよ」


埒が明かない。

ジョセフ「そういうのじゃなくて、ほんものの」

ロデリック「(また平仮名で会話してる)・・・本物。それは本人はお辛いでしょうね。
どちらが主人格なのかと争いと言いますか。そういうのがありそうですね」


うむ。

ジョセフは思った。


主人格はシャオイーさんなんだろうけど、ライイーさんも存在しているんだよね。

たぶん・・・


ロデリックはA班のエリートである。

何故かジョセフに懐いていて、そのせいかジョセフはロデリックにだけは心を開くようになった。


ちなみに、ジョセフの長男、レオンはA班を卒業し実際の練兵隊員としてしょっちゅう色んな国に出動している。
(レオンはロードナイト。その上の三次職「ルーンナイト」は並大抵ではなれない)


でも例え戻らなくても、

「(シャオイーさんが完全に乗っ取られても)」
それはそれでうんめいというか


ジョセフはおおらかだ。

流れに逆らわずに生きてきた。

・・・

でも

悔しい。初めて起こる感情。


ただ、「悔しい」と思った。



面倒臭ぇなー

そうやっていつも背を向けていた自分。


『お、奥様は、まだあなたを・・・』


アルベルタで言ってくれた彼女。
運命を乗り越えて!と言ってくれた、メイチーさん。

(※過去「茶色い犬」参照)



何も考えずに立ち上がって、、そのまま隊員たちのところに歩いた。



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