「暗闇と花びらの記憶」、、過去のお話である。
ナイトライド「ん~~」
少し青ざめるナイトライド氏。
彼はすぐに気付いたのだ。
シャオイーとライイーは『同一人物』だと言うことに。
頭の中でカントールの対角線論法を考え、オイラーの等式を展開させながら、
メイチーの愚痴や説明を聞き、
「え~?それって。シャオイーさんとライイーさんが同一人物、ってことじゃ~ん」
と、気付いたのだ。
・・・
「(そりゃもうひとりの人間に惹かれる訳だよね~)」
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彼は、ナイトライド氏は全てを知っていた。
理解した。
しかし簡単にそう真実を教えるのは本人のためにならない。
本当に別人だったとしても・・・ピシュリムによって・・・
「・・・・・・」
本当に辛くてしょうがないことはあるけど
でも乗り越えなきゃ駄目だよね
生きている意味がないよ
メイチーさん、逃げたいと思い、周囲も(自分を見捨てて)逃げていく。
そういうことになっても決して自分は自分を捨てないで下さい。
僕は学びました。
人は甘やかしてくれる手を手に入れると、途端に自分を守らなくなる。
自分を自分で守る能力は大切です。メイチーさん。
乗り越えろ!
心の中で叫ぶ。
メイチーさん。
楽しいこともこれから来ます。
何しろ、シャオイーさんとライイーさんは同一人物なのですから。
自分でその事実を突き止めて彼を抱きしめて、幸せをつかみましょう。
運命は渦です。
飲み込まれるのは必然です。
自分はいつか消えてなくなる。
それまで渦の中で楽しもう。
運命が勝手に何とかするでしょう。
・・・
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冒頭。
上記の話の中にあるが、まだシャオイーがアコライトだった頃、、
自分のステータス値のことで悩み、ナイトライド氏に話したことがあったのだ。
天才なナイトライド氏はとんでもない薬を渡した。
彼は無理がたたり、精神がふたつに分かれてしまった。
「馮 喬一」に、、
新たに「汪 来儀」という人格が加わり、
ふたりで精神を背負うことで自分を守る(護る)、という体の自動保護作用が働いた、、という訳だ。
肉体が常に10倍、年に一回100倍。
能力値・・・つまり肉体の能力が凄いことになってしまった。
精神だって、以下略だろう。
クリスティン『な、何か重要なことを、、凄く重大なことを忘れている気がするわ・・・』
前回の彼女の台詞。
彼女は昔、アコライト時代のシャオイーが、、あやしげな薬をナイトライド氏から受け取っているのを見たのである。
優しい父、美しい母、お手伝いさんふたり、
ネコ一匹、イヌ一匹。
・・・
何もかも。
馮 喬一という人間が描いていた、理想の家庭の姿、、であった。
シャオイーは友人が多く、メイチーと一緒にいなくても
あの人この人と、仲良く出来る人間が大勢いた。
が、何故かメイチーと一緒いることが多かった。
そのため、シャオイーと一緒にいる時間が多いメイチーこそが
ライイーというシャオイーの裏人格(本人格?)を引き出しやすい人間となった。
シャオイーとライイー。
常に分裂しあう心。
すでに見たことがあるメイチーの内親王姿と
花摘みで初めて出会ったと思って内親王を別の人とすり替えた。
喬一はジキル博士でずっと終えられる稀有(けう)な存在であった。
しかし来儀が表に出てしまい、記憶の混濁や言動や行動の奇妙さ(あくまで彼にとって)が出てしまった。
裏の自分は本来の自分であり、パッとしない自分とは違う、文字通り『本来の自分』である。
汪 来儀が華やかなのはそういうことだ。
キシュリンの花の毒に侵された時、ナイトライド氏の薬を一気に全部飲んだ。
彼は。
防御力が上がると 思ったのだろう。
確かに助かった。消滅せずに毒なんか消えさせてしまうくらい何とかなった。
が、、片方の精神が悲鳴を上げ、「喬一」つまりシャオイーが壊れそうになった。
薄れゆく景色、意識の中で、、
その時初めて、「自分の中にふたりの人格がいる」と知ったシャオイー。
涙を流して「メイチーを守ってください」ともうひとりの人格、ライイーに託した。
・・・
元々、ナイトライド氏にもらった薬を常用していたシャオイー、もといライイーである。
超人的な体や精神、、彼が天界で出世が早いのはこういう背景があった。
ナイトライド「人格統合の薬を作るのもいいんだけど俺、ライナスと生命倫理学とフェルマーの最終定理と、ゲーデルの不完全性定理と・・・かな。そういうの勉強したいんだよね~~」
そう言ってピーな本をとりあえず読む先生だった。