ゴロゴロゴロ
腕の中で美織に甘え、ネコの振りをしている。
動物になったのをいいことに、ずるいなぁ。
ため息をつく。
「僕用事があるのでこれで」も これで万事解決って訳。
ハーッ
突然。
うふふっ
子供の声がまた響いたかと思うと
ううっ
磁場がゆらぐかのような、強烈な眠りが美織を襲う。
あがっ、、、
腰を落とし、スーッと軽く息を吸い、「ね"・・・ね"ぶい・・・」と言う美織。
にゃあ
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『月の間』までは遠いので、当初喬一が泊まるはずだった『雪の間』に、
美織を誘導するネコ。
入った途端に。
すぴ~と死んだように眠る美織。
たくさんのあでやかな花畑をとても心地良い空気の中、走り回っている幻覚。
ふわっ、、
美織は目を開けた。
こ
「(ここは何処)」
あ、『月の間』、じゃなくて『雪の間』に来たんだった。。
大丈夫なのかな、え・・・?
他のお客さんが後から入ってなくて良かったけど・・・
とりあえず起き上がる。
が?
変な声が出る。
よっれよれのよれ子さんだ。仙服が。
まさかマサルさん的な寝方が移っちゃったの?
「(アレって伝染病だったの?)」
恐れおののく美織。
急いできちんと服を締め直す。
「(しっかしすごい)」
下界で言うところの親父なるキャラクターはこういうの許されるんだろうけど
女がやるとドン引きだよな、誰も
・・・
ハァッ
面倒臭くなっちゃった。
「(レンレンなんて放っておこう)」
(すぐにエネルギー切れを起こす。集中力はすさまじいが、切れると全部切る。切れる)
頭を押さえて、『月の間』に戻る。
「(幽霊、、どうしよ)」
レンレンに集まっているのが、私に来てるだけだし。
レンレンが何とかすればいいだけの話だし。
・・・
さっきから何なんだこの倦怠感は。
「(呪いか?)」
「(あの『雪の間』っていうのもヤバイんじゃ・・・)」
そういえば喬一さんはどこだろう
くるり。
スタスタスタ。
途中、すごい嬌声(女性の騒ぎ声)が飛び交っている部屋があった。
喬一を探しに、フロントに向かっている最中であった。
あのやっぱりね、『月の間』に入ったカップルって絶対別れるのよね!
あたしあのふたりが別れるのに賭けるー!
やっだそれ。賭けにならないじゃないの~
でもさぁ、何で貸したの。そりゃ困ってるから仕方なく、なんだろうけど。
すっごく困ってたとか。女の方がぎゃあぎゃあ言ってたとか?
まー受付のアゼレアさんに聞かないとどうしようもないね~
でも『雪の間』の方は予約あったのに無しになったって不吉ねぇ
予約してた男性がいたんでしょ?
いたの?
うん、でも女性が来ちゃって、、どういう関係か知らないけど
それで無しになったって。宿泊
うっそー!!(数人)
「そ、それで、『月の間』に行ったの?」
「不吉すぎない?」
「うちらこんな風に話してる場合じゃないよ・・・」
要約するとこうだ。
★『月の間』に入ったカップル・夫婦は必ず破局する。別れる。
★『雪の間』に泊まった人は幸せな結婚が出来る。
・・・
美織は。
そっかぁ。でもいいや。とりあえず身支度して帰ろうっと。
としか考えられなかった。
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