テクテクテクテク
部屋を出て受付に向かうふたり。
美織「ホラーは平気だけど、
こう『不吉』っていう要素が付くのは・・・
まぁ落ち込んでたってしょーがないか」
この部屋も、旅館も何となく不吉な気がする、ということを美織に言った喬一だった。
美織「受付の人の態度って、そういうことだったのね」
気付くと
せっかちに喬一がさかさか進み、(せっかちだな~)
受付に着いていた。
「先程チェックインをしました喬一です。
ダブルの部屋に替えて頂きましたが、あの部屋には何かあるのでしょうか」
ドストレートに聞く。
表情が上手く読めないような顔で答える受付の女性。
「いえ、あの そのようなことは御座いませんが・・・
何か不都合でも御座いましたでしょうか」
「・・・何でしたらお部屋を。あ、空きが御座いませんから、、(パラパラ書類をめくる)
あの、何か御座いましたでしょうか」
何か壊れていますとか
埒あかないっ!と言った感じで美織が「あ、もう結構です。何でもありませんから」
と作り笑いをし、
喬一を外へと促した。
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「さっきから思ったのだけど」
喬一の後ろをしずしずと歩いていた美織が聞く。
(しずしず歩くのもイライラさせないように気をつかって、である)
「イライラさせちゃって御免ね(訳:何故イライラしてるの?)」
その仕草にもいちいちイラつく喬一。
ふたりは本当に疑問であった。
何故こんなに喬一がイラついているのか
何故こういう展開になっているのか
そして。
くるりと後ろを向き、旅館を見る。
「真っ黒い建物」を。
何故不吉な香りがするのか・・・
美織「(何だろうこの、動かされている感じ)」
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気付けば、
美術館のようなところだとか景色が美しいところだとかにテキトウに回っているふたり。
もう!
ああああ
美織「こういうの相性合わない。サクサク次、次って行ってしまって。
でも私もモタモタしているけど」
ガーガーガーガーガー!!!
ガピーガピー!!
いつも通り行動の遅い速いで大喧嘩するふたり。
夕食を食べる頃には
安心感が戻って「何とかなるだろう」
「考えすぎだったのかも・・・」と思ってフーッとひといきつく喬一。
反対に、
とても青い顔をして、無口になる美織。
ガチャッ!
喬一の食器を置く音で
ヒイッ!!
と
美織は椅子から落ちた。
・・・
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月の間。
美織「お風呂入って疲れた・・・
普通はスッキリするのに
もう寝る」
喬一は「おやすみー」と言った。
お札とか護符とか買おうかな
次の瞬間にはアイポンじゃない通信機(下界のもの)を取り出して調べる喬一であった。
面倒臭いなーとも思えてきた
が、
美織が可哀想になってきた。
守らねば!と強く思う喬一。
「(守ります!)」
・・・何をだ!
自分につっこむ彼。
何かがおかしい、と感じたが、
すぐに考えるのを拒否した。