それまでも、とても喜怒哀楽が激しくなっていた。
美織「一番気になるのって『意識がないまま母親になること』。
何かこう・・・」
アレクシスはうーんと考えて、、
「(良く分からないけれど、それはそう・・・だな)」
と結論を出した。
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ミョンホンで呼び寄せ、何となく下界に降りてベインス(峡谷の街)に来たふたり。
ふたりとは、「アレクシス」と「シャオイー(喬一)」である
何故ベインスなのか・・・
さすがに楽しい雰囲気がある街では語れないというのと、
かくれんぼでもして後半遊びたいなぁなんてアレクシスが思っていたからである。
(ベインスは広いのでかくれんぼに向いている)
(本当に真剣に考えているのかと)
ダンディな酒場(どんな酒場)に入り、男ふたりは席についた。
アレクシス「・・・という訳で」
シャオイー「夫ならちゃんと制しなさいよ」
アレクシス「・・・そう・・・だ、ね」
エメラルド・ミストを呑みながら、カラン、、と氷を鳴らしアレクシスは聞いた。
君は その
メイチーの方は意識が無かったと言っていたけど
「君の方は どうだったんだ」
強めに言うアレクシス。
・・・無言のシャオイー
カラン・・・
再度アレクシスが氷を鳴らす。
・・・
し~~~ん
メイチーのことが無ければ普通に会話がはずんでいたに違いない。
シャオイーは岩のように見えた。
一見は静かな、、端正で礼儀正しい人間にように見えるのだが、、
「(面倒臭いな)」
この場から退散したいアレクシス。
エル・プレジデンテを注文するシャオイー。
しばらく沈黙が続き
「(何を、言えばいいのか)」
メイチーを楽にしたいとこうしてシャオイーと会っているのに、
何も建設的なことを話せない。
アレクシスは虚しくなった。
「(でも、これだけは言っておかないと駄目だろう・・・)」
ひとつちゃんと言おうと思う彼。
アレクシス「僕は彼女の夫だ。子は無いが・・・」
沈黙。
アレクシス「子、は関係ない。僕は彼女の夫で、君は彼女の友人。
それだけはハッキリしておいてくれ」
後ろでは陽気なジャズの音楽。
シャオイーは言った。
「分かってます」
何だか含みのある言い方。
カララン 優雅にエル・プレジデンテを呑むシャオイー
おかわり
ハッ
我に返ったアレクシス。
そこにはいつもの落ち着いたシャオイーが普通にカクテルを呑んでいた。
・・・
め、「メイチーは傷付いてる。意識がないまま母に・・・」
「はい」
優雅に、他人事のように言うシャオイー。
「・・・君はどうだったんだ。再度聞くが」
少し横を向いて話すアレクシス。
ありました
何の抑揚もない声で言うシャオイー。
アレクシス「・・・そう」
気付くと、イスラ・デ・ピノスをじいさんのように美味しそうに呑むシャオイーが眼前にいて、
固まってしまったアレクシス。
「(この人、何か面白いかも)」
アレクシスは少し笑いそうになった。
(そして緊張が解けた)
<本題>
一度、、メイチーと話してくれないだろうか。
情報不安定で、見ていて気の毒なんだ。
シャオイーに頼むアレクシスである。
「(かくれんぼ・・・したかったな)」
こんな状況でもこんなことを考えるアレクシスもアレクシスだった。
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