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有難う



こミヤが亡くなった後、ユズルはミヤのお墓のすぐ傍に家を建て、

冒険者を引退した。

ずっとずっと、ずっと。ここにいたい。

そう思って

彼女を思い出して 花をたくさん育てた。

彼を慕い、たくさんの犬や猫が集まった。


ユズルは「ミヤ」「ヤミ」「ミーヤ」「ミヤミヤ」と

それぞれを名付け、「ミヤ」と名付けた三毛猫を特に可愛がるようになった。


どんなに犬や猫たちに酷いことされても、、

かまれてもひっかかれても、、

流血の大惨事になっても

彼は全部を受け止めた。


ずっと哀しい目だけは 亡くなるまで同じだった。


ユズル様、あなたにとって私は動物ですか?

「人間ではないのですか?」


ミヤは聞いた。

いや、、

「人間だったよ」


俺自身が「神」だと思っていたんだ。


もちろん君のことも「人間」だと思っていたし

周りの人間だってみんな「人間」だった。


動物だなんて 誰のことも思っていない


ただ 俺は自分のことを「神」だと思っていたんだ。


しかもその自覚もなく。

この歳になって自覚するとは


神どころか


「紙」だ。

紙くずだ俺なんか。


ミヤ・・・


君は何でも分かってくれると思った。


何でも受け入れてくれると

何でも分かってくれると


でも


結局君を疲れさせ

倒れさせ



挙句、、



・・・


もしも地界の使者だとか 悪魔の使いだとかが来ても

行くだろう

迷いなく


ただ、想い出のもの、、何でもいいからひとつぐらいは持たせてくれとお願いをして

それで地界へ行こう。


そこにミヤはいない。

この世にいない。どこにもいない。

もう二度と会えない。

それならどこだって同じだ。


地界なんて どうでもいいんだ。


いるかな。ミヤは。

俺を救いに。

・・・


・・・



こうして生きていることが何よりの罰だから


それが 俺 分かっているから

何の幸せもないまま 長く長くずっと長く生き続けるよ。


神。

男ならそう思ってもいい感情だ。

傲慢な神は淘汰される。

が、自分を神だと思い、それを糧にして向上心に繋げるのは
オスとしての生き方だろう。

そうでしか、いや、そういう生き方をするから「こそ」 男なのだろう。


神で何が悪い?

神だと思って生きて何が悪いのだ。
男なら当然持つ感情、欲求、糧、、ではないのか。

若い頃なら特に。


ユズルは罪悪感を必要以上に持ちすぎている。

・・・そうせずにはいられない程、彼の心は灰になってしまった。


ただただ、地界に行きたかった。


何となくだけど、まだすがっているようだけど

ミヤが蜘蛛(クモ)にでもなって、自分をいつか救ってくるのではないかと思った。

「(芥川龍之介の『蜘蛛の糸』みたいだな)」無表情で思った。


痛い

生きているのが辛い 違う痛い

歩くのさえ痛い。


何故!

こんな生き方をしたんだ

こんなつもりはなかった!
全ては遅い!

遅いんだ

ミヤ!

・・・

どうして どうして

どうして俺みたいな存在が


何故・・・

ミャー・・・

猫たちが鳴いている。


何故穢れた存在が生まれたんだ!

俺みたいな!



ニャー!

ニャー!

ワンワンッ!


ワンワンッ

ニャー

ニャー!


ミヤ「ニャー」



犬、猫たちが一斉に鳴き出した。


やめて!

と言っているようだった。



菩薩だとかそういうものたちが、、

動物に身を変え、

自分の周りを取り囲み


「やめてぇぇ」と

泣いているようであった。



分かった。

もうやめる、、、


ユズルは、、先頭にいたミヤをそっと抱き上げ、「ありがとう」と言った。


有り、難い。 なかなか、ないこと。ありがたいこと。


「有難う」


なぁ

なぁなぁ

ミヤは鳴いて 再度なぐさめるように顔を左右に揺らした。。



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