大昔、まだ白亜紀だった頃。
エメラインがまだアコライト・・・初心者聖職者だった頃の話である。
奔放で明るい双子の姉、クリスティンと違って、エメラインは真面目で超~お堅い人間であった。
パーティメンバー(一緒に狩りをする仲間)募集で、偶然募集システムで一緒に組むことになったジョセフと知り合い、一緒に狩りをすることになった。
当初、あまりの堅いっぷりに おおらかなジョセフも息が詰まりそうになった。
「(融通利かなそうだなー)」
「(頑固なやつ苦手なんだよねー)」
それもまた一興、と思いながら狩りをしていた訳だが。
ジョセフは女好きのようであった。
恋人は5~6人はいただろうか?
エメラインと一緒にいることで疲れてしまい、娯楽を全部投げ捨てた。
つまり、女性たちをポイッと捨てた。
(普通逆なんじゃ)
「(狩りに集中するしかないからなー)」
(普通は「娯楽が楽しめないから狩りを捨てる、エメラインを投げ捨てる」)
エメライン「次に、時間が重ならないのはいつでしょう」
もう彼女たちとは別れたからだいじょうぶです。
えっ
と驚くエメライン。
「娯楽がなくなったら狩りの効率が落ちませんか。また新たな娯楽を見つけないと」
「だいじょうぶです」
それから、今まで以上に狩りをするようになった。
エメラインはジョブレベル50転職、という面倒臭い上位転職を目指していた。
通常は適当にジョブレベルを40~45ぐらいを取って、一歩上の職に就くのだが
Max50は少し、、いやかなり時間がかかる。
大抵は聖職者職はジョブレベル50転職を頑張るものなのであるが・・・。
「いつまでもアコライトで申し訳ありません!早くジョセフさんの役に立つように頑張ります!」
ビシッ!といつもこんな調子であった。
ストイックな彼女に、「(こういう女とだけは友達になりたくねーなー)」などと考えるジョセフ。
いつも狩りの後は髪の毛ぼっさぼさで服もボロボロ。
狩り当初はキッチリ!しているのだが、狩り後はいつもそんな感じであった。
それをチクッと皮肉ってしまったジョセフ。
次の日からはビシッと何もかも完璧に整えてきた。
「(可愛い子だよなー顔だけは)」どこ見てんだよ的なことを思うジョセフ。
ある時突然、エメラインが「重病のため、しばらく冒険者を休業して療養します」とメッセージを送ってパーティメンバーのシステムから脱退していた。
お見舞いのフルーツバスケットをエメラインの家に行って、、届けようとしたら。
クリスティンが出てきた。双子の姉の。
「エメラインです。重病です(元気そうに!)。わざわざ有難う御座います」
魅力的な笑顔。
以前なら絶対こっちを仲間に選んでいただろうなと思いながら
「エメラインさんいますか」と言った。
・・・
は、はぁ?
ものすごく驚くクリスティン。
両親、、兄のナイトライド先生でさえ、間違える程似ているのに
初めてだわ!見抜いたの、、見分けたの!
目がぐるぐる回る。(とても自信があったらしい)
奥からバツが悪そうにエメラインが出てきた。
「・・・こ、こんにちは」
でかい声で言うジョセフ。
「たいした病気ですな!」
スッ!と結構乱暴にお見舞いのフルーツバスケットを差し出す。
ジョセフ「それでは どうぞお大事に」
目を点にしながら眉間にしわを寄せて(可愛い?)帰ろうとする。
「あのぅ・・・」エメラインが小さな声で言う。
足手まといになりたくなかったんです。
本当はレベルの高い狩り場に行きたいの知ってたけど、私じゃ限界で。
「あなたの足枷になりたくなかったんです」
脱兎の如く、、は失礼なのでそそそっと逃げるクリスティン。
御免なさい。お役に立てなくて、、 気丈なエメラインが下を向いて涙ぐんでいる。
・・・
突然どうしてそう思ったのか知らないけど
「そう思ったのなら仕方ないですな」
そう言って、カチャカチャッと空間でパーティ設定を出現させ、「なまえてきとう」という名前のパーティを作成、出来たブレスレットを掲げ、
「付けてください」というジョセフ。
(※この世界のパーティの組み方はこういう方法。ブレスレットを付け合って組み合う)
「いやです!」
「私じゃ無理なんです!」目をつぶる。
つぶっている間に、目を点にした(何故点にするのか)ジョセフが勝手にササッとブレスレットを付けてしまった。
・・・
「態度に出てるんです」
その言葉で全てを悟るエメライン。
★ほんと~はジョセフと一緒に狩りをしたい
★ジョセフのことが好き
こんな時でも顔を赤くしないエメライン
「女好きな人は嫌いです!!」
「あれはただの友達です」
エメライン「嘘つきはもっと嫌いです!男らしくない!」すごい声だ。
「・・・・・・」←誤解されて面倒臭いなーという気持ちと妬かれて嬉しい気持ちがごっちゃになってる
本当はただの信者・・・というかファンというか、、そういうお友達で、
それを恋人だと勘違いしていたのだと分かった。
「じゃあ何で「彼女たちと別れた」って恋人と別れたみたいな・・・」
あんな言い方するのかしら・・・。
疑問に思うエメライン。
「特に意味はないです」(本当に意味はない)
女好きっていうのも私の勘違い・・・
お堅い考え方が即座にそういう勘違いを生んだのかしら。(その通り)
それから、陰で見ていたクリスティンが、何だか悲しくなってしまった。
「(あんなに無理して頑張っているエメラインが、、泣いたり、、、わたしがしっかりしないから、、
初めてだわ あんなに気弱になってるエメラインなんて)」
それから、、クリスティンはわたしがお姉ちゃんなんだからしっかりしなきゃ!!とガッツポーズして頑張るようになった。
↓
ちーん。
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