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無害



エメラインは途方にくれていた。

wis(1:1対話)をして連絡を取ろうにも、元々ジョセフとのコンタクト防止のためにクリスティンによって凍結されている。
(そんなの出来るのか!)

クリスティンに連絡したいのだが、連絡手段がない。

この屋敷は窓という窓に細工がしてあって、出られない。
文字通りカゴの鳥である。



「クリスティンがどんなに心配しているか・・・」

もしかしたらクリスティンが大事を感じてジョセフにも連絡を取ってるかも。


どうしよう。


レオナルドに、「クリスティンにだけ、ここの屋敷にいる」って伝えてくれませんか と頼むか?

いや、、心配したクリスティンが、例えどんな事情を説明しても、人を引き連れてやってくるのが分かりきってるから・・・


レオナルドはそんなことはしてくれないだろう。



くらくらっ

そのままベッドに横になった。

あー何も考えたくない。

何でこんなことになったのだろう。

考えるの面倒臭い。



カチャッ

紅茶の香りと一緒に入ってきた人がいた。


「レオナr・・・」



「辛い?そりゃそうだな、・・・こんな状況になった訳だ」


彼は近くのテーブルにティーカップをふたつ置いた。


「カフェインが苦手だったらと思って、君のはハーブティにした」


変な人。


見た感じは普通の人なのに、、
頭おかしいンだなぁきっと。



「君と、、旦那さんの馴れ初めは何なのだろうか」
レオナルドは言う。


な、馴れ馴れしい。突然・・・、と身構えた。
が、すぐに切り替えるエメライン。

・・・

エメライン「馴れ初め、、、
なんだっけ、、幼馴染で、、」

レオナルド「幼馴染」


エメライン「色んな人と狩りとか冒険をしたけど、、
なんかすごく無害そうな人と会って、、」


レオナルド「無害・・・」


エメライン「それがジョセフ。のんびりした騎士さんだった」


レオナルド「・・・(汗)」


エメライン「それで、素敵vって思って、くっついたのが、、きっかけ、、」


たらりとしながらレオナルドはつっこむ。

「つまり、 君は ・・・旦那さんが無害そうだったから好きになった、と」


エメライン「ええv」

エメラインの頬はリンゴのように赤く染まっていた。


レオナルド「・・・、、、(汗)」


レオナルドの反応に??という顔をしているエメライン。


エメライン「どうか・・・? 何か変ですか?」


レオナルドは言った。

「男に、、「無害」とかそういうのって、、微妙なのではないか?」


エメラインはムッ!として言う。

エメライン「人畜無害!のどこがいけないンです?それだけ丁寧な人ってことですよ!
紳士的っていうかですね」


レオナルド「そ・・・う かも、、、 いや、そう、、かな」


自分の変態さを棚に上げて、レオナルドはすっかり呆れた。


き、君は愛されてる?

少し聞いてみた。


エメラインはうーんと うなって


エメライン「どうでしょう。でも結婚したから好き合ってるンじゃないでしょうか」


レオナルド「どうだろう。・・・案外、女なら誰でも良かったのじゃないのか」


!!

エメラインは目を見開いた。


エメライン「え・・・ええぇぇ」

レオナルド「・・・ん?」


顔を上げるレオナルド。


エメライン「そ、そうなのかな・・・
やだ、そんな気がしてきちゃった」

突然彼女は不安そうに肩を震わせた。
思い当たることでもあるのだろうか?


レオナルド「・・・思い当たることでもあるのか?」

あまりに反応が早いので、不思議になって聞いてみた。


エメライン「そっ、ジョセフは、女とかこだわらないような。
好きになってくれる女なら誰でもいいような。
そ、そういうところ。確かにあるから・・・」

色々と話し出すエメライン。ぼそぼそと下を向きながら怪しげにしている。

まさに図星を突かれた!そんな感じを受け、いちじるしく混乱しているようだ。


レオナルドはジョセフの、・・・つまりエメラインの夫の。
のんびりとした『何にもこだわらない』というような雰囲気を思い出した。

それにしてもエメラインは不安にしすぎではないのか?と首を傾げる。


レオナルド「良い機会だから別れたらどうだ」



エメラインがキッとにらんだ。


エメライン「い、いやです」



その目を見て、彼女の深いジョセフへの想いを感じた。


胸が苦しくなるレオナルド。

彼女の想いはとてもとても、言葉に出来ないほど重いものだと分かった。


「いずれにせよ、君は当分帰さないからな!
どうせそうさ!
君が想ってるだけで、君の夫は君のことなんて何とも思ってないさ!」

女なら誰でも

と言おうとして、エメラインが


エメライン「やめて」

小さく反論した。



エメライン「お願い・・・分かって下さい」

下を向いてしょんぼりとした。


エメライン「彼がどんな人であれ、私が(彼を)好きだから、それでいいんです」


・・・



しばらく、無言のふたりだったが、
やがてエメラインはえぐえぐと子供のように泣き出した。


レオナルドは黙っていたが、
あまりに長くずーっと泣いているので、、


「いつまで泣いているんだ 人前で泣くのは好まない(←個人の都合)
だいたい私は君を好きだと こんなに言っている(←言っているのか?)
いい加減泣き止んだらどうだ(泣かせたのだれ)」

と腕を組んで呆れて言った。

エメラインはそれどころではない。


「ちょっと待って。静かに泣かせて。
・・・やっぱり女なら誰でも良かったのかな。
良かったのかな。
・・・良かったのかも。
たまたま私が親しげに声を掛けたから。

お、女なら誰でもいいって本当かもしれない。
な、何で今まで・・・(気付かなかったんだろう)」

叫ぶエメライン。
「たまたま、私が好きだって言うから、結婚しようかって言うから、、
こだわらないジョセフはてきとうに結婚しただけなんだ!!」


うっ、ううーっ!


レオナルドは面食らっている。

大人が見苦しい、、

「(これは心を許してくれている証なのか?

いや、、
それにしてもいい大人が本当にみっともない・・・


イライラが頂点に達したのだろう


パシーン!

とうとう手を上げてしまった。

先程からも、そんな筋合いはないがずっとイライラしていたのだ。
それが溜まって、とうとう・・・。なのだろう。

エメラインはパチクリしている。


そのまま、レオナルドは背を向けて、部屋から出て行ってしまった。


自分の置かれている状況がわからず、ひたすらドアの方向を見つめるエメライン。


うるっ、と目を潤ませ、「(ジョセフ・・・)」と心でつぶやく。


どうすれば、ジョセフは私に夢中になってくれるんだろう。
・・・あのドナルド・・・じゃなくてレオナルドみたいに。


ただ、ただ、呆然とするエメライン。



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