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哀しそうな母



僕にはお母さんの記憶があまりない。

でも覚えているのは、猫をいつも可愛がって、さみしそうな目をしてうつむいていたことだ。


クライヴ「ママ、ここの猫はなつっこいね」


元々、飼い猫だったのよ

ここの猫たちは。


さみしそうに猫をなでる母。


どうして?
捨てられたの?


聞くクライヴに、

「プロンテラにね、みんな行っちゃって、、
それで このこたちは野良になっちゃったの」

プロンテラとは、ルーンミッドガッツ王国の首都のことである。


寂しそうに答える母。



家に帰ろうとすると、

猫たちは一斉にどこかあさっての方向に狂ったように

ミイーミイー

と鳴く。




ママ、猫たちは何を呼んでいるの?


飼い主たちを・・・

あの子たちはね、今も待っているの。


待ってるのよ

「帰っておいで」

って言われるのを・・・



どうしていいか分からなくて、、
猫たちを見つめるクライヴ。。


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ママ、!


ママも僕を捨てるの?

捨てたの?

あの猫たちみたく


あの猫たちを捨てた飼い主たちみたく、、、


僕を捨てたの・・・?



お義父さんがいても、、全然嬉しくないよ



お母さん




どこにいるの?

(・・・クライヴ)


お母さん、

僕はここにいるよ

ここにいる!


ちゃんと


ちゃんと迎えに来てよ


バカ!!



お母さんのバカ!!




お母さん、、、、  どこにいるの・・・



僕はお母さんの猫だったの?



違うクライヴ

猫だから捨てたんじゃないわ




あなたはさらわれたの!



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はっ!



すごい寝汗で起きるクライヴ。


「またか・・・」


横では義父のライナスがスースー寝ている。



水を飲みに行こうとベッドからはいでる。



こくこくこく


視線を感じたと思ったら、猫がこっちを見ていた。




あんなに嫌な思い出があるのに、何故か猫を嫌いになれないクライヴだった。


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注釈:途中までの台詞は、
安孫子三和著『レイニー・デイ』参照



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