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右と左

まぁた左茶先輩のモノ作ってるの?


晴香「うん!」

超笑顔で応える晴香。


話し掛けたのは友人の看護師、知美(ともみ)。


晴香は企業イラストレーター。今日は土曜日なので左茶先輩という大学時代の先輩へのプレゼントを作っている。


左茶則之(さちゃのりゆき)

右茶晴香(うちゃはるか)


昔・・・

大学の食堂で、たまたま着ていた白衣に名札が付いていた則之を見て、

「お揃いですよね!」

私は右のお茶、貴方は『左の茶』、ホラ・・・

と話し掛けた。


則之は「誰だ?」と少し戸惑っていたが、


それをきっかけに(おいおい)ふたりは親しくなっていった。



知美「ドライフラワー、イラスト、ぬいぐるみ、あとは訳の分からない妙薬?
次は何それ?」

晴香「うんとー左茶先輩への「お菓子セット」。
チョコとか、キャンディとかー、マシュマロとか。
色々ちっちゃいものを袋に入れて。50種類くらい入れるの。
・・・っていうプレゼント」

知美「甘いもの嫌いだったらどうするのよ」

晴香「甘いもの好きだって言ってた」


食べきれないわよ、、と思う知美。


晴香は大昔飼っていたアルパカに似ている(アルパカ?)則之が大好きであった。


「きっとあの子の生まれ変わりだわ(歳が会わないっつぅの)・・・」
と信じて疑わなかった。


知美は忠告した。

左茶先輩に 彼女とか出来たらどーする訳!

晴香「夫婦円満系の寺社に行って結婚出来るように祈ってくる~」
絵馬に書く文字を空中で練習する。


結婚したら?どうするの。

晴香「キレイなブーケ作るわ~ せっかいいちキレイなブーケ作っちゃうもんね!」

とやはり満面の笑みで返す晴香。



男としては見ていないらしい。

魅力的な人間として見ているのは一目瞭然なのだが。



・・・


本当は、晴香の正体は「不思議な生物(妖怪、にやや近い)」なのだ。



4歳の頃、羨ましいなぁっと見ていた、裕福な家の夕食。

帰り、泣いて帰っていたら仙女が現れて、

「貴方の涙に感動しました。私に出来ることと言ったらこれくらいですが、楽しい人生が送れますように」

そういって魔法を掛け、去って行った。


驚いたが、何故不思議な生物に変身、、と疑問に思った。4歳の晴香。

同時に特に貧乏という訳でもないのに、、だましてしまったのかな、、と少し罪悪感を感じた。



「左茶先輩、妖怪に驚くかな?」

お岩さんルックでふよふよっと則之の家に侵入。

特に驚く様子もなく、「右茶さん?」と言う則之。


へっ?

丑三つ時で寝てるところにドロドロって感じで居るのに。

すすり泣きをして起こしたのに。


・・・

「た、誕生日プレゼントです」

スッとお行儀良く正座して、自分の能力を語り、変な誕生日お祝いをしよう、、

「出来れば一生忘れられないような誕生日にしようと・・・」

と説明する晴香。

則之「右茶さんらしいね」
苦笑する則之。


男の人ってどんなものが喜ぶか分からないので。

ごそごそ

「シャネルの・・・コンサントレ・トラベル・スプレイ・・・(香水)」

パッとでかい箱を差し出す晴香。


有難う。

そっと受け取り。

「こ、これってシャネルの最新のやつ・・・」

驚いているようだ。

晴香「し、知ってるんですか?な、何故・・・
香水・・・」


ニッ

則之「それはねっ」

当然だよ、と言わんばかりにえへん!とする則之。

ハッキリ言って則之は冴えない。

いかにも香水が似合うというような美男ではない。
むしろ(略)だ。


晴香「えっと、、付けなくてもいいんです。インテリアとして置くのでもいいですし・・・」

則之「いや、付けるよ」←イケメン風


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初めから気付いていたらしい。

則之「夜中に来るんだろうなぁって」

そんな変態なのだろうか。

晴香「わっわたし、そんな危険な人間だって思われてたんですか?」

危険っていうか

則之「何となくね」


お岩さんルックとかお化け姿とか・・・

何故驚かないのだろうか?


則之「何となく君だと思ったから」


ガクーッとへたり込む晴香。

晴香「たぬき寝入りですか?」

則之「いや、深く寝入ってた」


すすり泣きがする

身を起こしたらお化け

何だこの非日常は

あれ?そういえば今日は俺の誕生日

そうか右茶君がサプライズか


・・・を10秒くらいで考えたらしい。


次の10秒後には、「窓は施錠してあるから入れないはず。事前に忍び込むスキルがあるとは思えない」→「幽体離脱出来るかお化けに変身出来るんだろう」

と理解したらしい。


でも、「出来れば君が欲しかったな」とイケメン風に言う則之。


ドキッとしながらも「あのー・・・家宅侵入でしかも不思議な生物になれる女ですよ!な、何を!」
取り乱しながら言う晴香。


普通じゃなぁ、

「嫌いになるとこだろうな」

でも動揺してないのがいい証拠だろ。

し~ん

「(確かに・・・)」

こんなことされたら物凄く愛する女でも無理かも。


先輩!!

突然変身を解いた晴香が言う。
立ち上がって、、

「ハサミを貸して下さい!」

と言った。

え?
則之はぽかーんとしている。


ぎゃーっ!!!

「前髪がうっとうしかったんです!!」

切らせて下さい!


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知美「あっはは。面白~い。いい結末だわ」

知美は大笑いした。


晴香「見事なイケメンよ~
うふふ。私だけのもの♪」


気付いたら、不思議な生物に変身出来る能力はなくなっていた。



左茶せんぱ~い♪

男としてはまだ見ることは出来ない。


晴香「でも、いつか見ること出来ますよね!」

グッとガッツポーズを決める。

則之はその様を微笑して見守っていた。

「(しかしお化け云々は何の意味があったのだろう・・・汗)」

意味など無いのだろう。


名札を指されて、「私たちお揃いですよね!」と言われた時から惹かれていた。

「(左は右に敵わないからな・・・)」

右が支配するこの世界で、左が右に勝てる訳がなかった。


 
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