りょうしん
恵子「だって悠悟くんには和楽器も習わせたいのよ」貴人「今のままで充分だ」
恵子(けいこ)は悠悟の母親、貴人は(たかひと)は悠悟の父親である。
鍵盤楽器:ピアノ
弦楽器:ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス
木管楽器:フルート、クラリネット、サクソフォン、オーボエ、ファゴット
金管楽器:トランペット、トロンボーン、ホルン、テューバ
打楽器:ティンパニ、タンバリン
その他:ハープ
これらを全てマスターし、悠悟は一番好きな「ハープ」をポロロンポロロンと奏でていた。
(ハープ・・・)
「琴でしょ、筝(そう)でしょ?琵琶でしょ?三味線もあるわ」
プンプンしながら恵子が言った。
「何がいいかは俺が決める。
おまえは黙っていろ」
貴人が言う。
恵子「なぁ~によ。貴人さんたら。
悠悟くんのこと心配じゃないの?」
恵子は当時5歳の悠悟を抱き上げ、
ねっ悠悟くん、日本の楽器だって習いたいよね?
とニコニコして言った。
恵子は超がつく程の「可愛いタイプの母親」であった。
綺麗には程遠いが(本当に程遠い)可愛い感じのさくらんぼママであった。
(・・・)
男はみんなマザコンである。
悠悟は無表情で恵子に頷いた。
「ほらぁ、貴人さん、悠悟くん習いたいって(ニコニコ)」
「おのれ卑怯な・・・」
父親は慣れたように無表情で呆れた。
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結局悠悟は両親が決めた「これ」という音楽を全てマスターしてしまった。
他にもこれとこれはどうかしら、、と恵子は楽器カタログをペラペラとめくったが・・・
貴人が「いい加減にしないか!!」と一喝した。
「もう悠悟は散々習ってきている。
これ以上習わせてどうする
おまえの趣味に、、」
ポロッ
言ってる最中に恵子が涙を流した。
恵子「そ、そうよね。御免なさい。ご、御免なさい・・・」
恵子は泣き出してしまった。
反省する時は「そこまで反省するかよ・・・」と誰もが驚くほど反省するのだ。
天使だからなのだろうか。
悠悟はポロロンポロロン、とハープを弾き出した。
ふと。
両親はぴたりと止まり、その音に聞き惚れた。
スタスタスタ。
貴人は悠悟の頭を撫でて、
「いいな」と褒めた。
「素敵だわ。本当に素敵」
いつも可愛いキャラの恵子も「綺麗系」の顔になってニッコリと笑った。
ふんわりとしたソファーに座り、両親は悠悟に曲のリクエストをした。
悠悟は無表情でハープを奏でた。
両親は肩を寄せ合いながらうっとりと聴いていた。
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結局、、両親は抱き合っていちゃいちゃしながら料理を作り始めた。
(和食。ブロッコリーの明太子あえと豚汁と豚肉のしょうが焼き)
何故あんなに仲が良いんだろう。
悠悟は疑問に思う。
ちなみに父親は悪魔というのもあって、検察官である。
いかにも怖そうな職業だ。
母親はカウンセラー兼精神科医だ。
天使だけあって人の心を癒す職業に就いている。
僕はニュートラルな「サラリーマン」になろう。
悠悟はぼんやりと思った。
僕には両親と、彩織さえいればあとはどうでもいい。
のんびり過ごせればそれでいいや。と思った。
何故彩織なのか。
「(うるさいこと言わずにまったりと過ごしてくれそうだからなぁ)」
まさにその通りだった。
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小学校2年生時。
彩織「えーっ?ファイナルファンタジー5のギャグ本?ちょっと、ホントでしょうね。
じゃあもう行くしかないわね!」
生まれる前に発売されていたというファイナルファンタジー5。
彩織が大好きなファイナルファンタジーシリーズの作品だ。
好きっぷりは「狂気的」と言っていい。
ムッとする悠悟。
もう俺用事があるからこれで、と言って去りたかったがグッとこらえた。
大昔のゲームにライバル心を抱く手の付けられない男の子、悠悟。
カチャッ
彩織「お邪魔しまぁす」
パタパタパタ
恵子「あらぁ!彩織ちゃん。あらぁあぁぁ。可愛くなっちゃって。
いやぁん。可愛いいぃ」
うぐっ
彩織は立っている脚がカクッとならないように必死で足の裏に力を入れた。
あのね、赤ちゃんの頃。悠悟くんと彩織ちゃんが生まれた時、、
一度彩織ちゃんに会っているのよ。
久し振りねっ
可愛いぃ
こんな可愛い子初めて!
頬を桃色に染めながら恵子が言った。
恵子「うちの悠悟くんのお嫁さんにならない?」
手を組んで言う。
それどころじゃない。
それどころじゃ
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目をくるくる回しながら彩織は言う。
彩織「天使としか・・・思えないわ・・・」
?
悠悟「天使だからねぇ」(実際)
ドビュッシー『アラベスク第1番』
ファイナルファンタジー5に使われている曲をハープで弾く悠悟。
「ん~んんん~(鼻歌)いいわね。やっぱファイナルファンタジー5は最高ね」
カチャッ
貴人「茶菓子を用意したのだが、いかがかね」
カチンと固まる彩織。
父親が去った後に肩を落として言った。
彩織「悪魔のような・・・美貌・・・」
?
悠悟「悪魔だからねぇ」(実際)
ふと
悠悟宅が四次元屋敷のように思えた彩織であった。
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