からぁ
新しいものを見ずして何を見る、の悠悟と、新しいものも古いもの両方好きだな!の彩織。
ふたりは夫婦。
かなりの高齢で、孫、曾孫たちは軍隊並みにいる。
(軍隊・・・)
彩織「長生きっていいわねっ」
出来れば大還暦(120歳)まで生きたいと思う彩織だ。
ふたりはしばしば様々な場所の大きな公園に赴いた。
大きな公園で長く散歩をすることで、何か元気になるものが得られる。
のかもしれない。
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そういえば、と彩織。
色んな公園に行っているのだ。
四季に敏感になる。
春の季節の淡い感じの並木道、夏の勢いあるうっそうとした並木道、
秋のもの哀しい切ない並木道、冬の寒くて神秘的な並木道。
私たちの苗字、『四季』よね。と。
・・・
彩織の旧姓は『紫野』と言う。
初めて、悠悟の家に正式にお邪魔をした時、
悠悟の母親のあまりの麗しさ(美しさ、を超えている)に倒れそうになった彩織。
天使としか・・・思えないわ・・・と言う彩織に
「天使だからねぇ」
と壁にかかっている『ゲルニカ』はピカソが描いたものだよ、と言うような感じで言う悠悟。
つまり一話「水滴」で出てきたあのお母さんは天使、、ということになる。
お父さんは悪魔らしい。
周囲の反対を押し切っての結婚で、通常はそういう夫婦は上手くいかないものだが、
人間ではない、というものが何かの作用になっているのか・・・
とても上手くいっているらしい。
「悠悟は天使と悪魔のハーフな訳?」と訊く彩織に、
悠悟「どちらでもない。天使と悪魔の中間ということで『純人間』というものになった」
と答える悠悟。
純人間とは混じり気のない人間という意味で、何もかも均一らしい。
善と悪、理性と本能、論理と感情、何もかもが全部均一。
お分かりだろうか。
何もかもバランスが整っている人間というのは「器用貧乏」になりやすい。
クセが全然ないからだ。
しかし悠悟は母親が天使で父親が悪魔である。
『器用金持ち』とでも言うか。
「器用貧乏」ではないのだ。
何もかも水準以上をこなす。
社長や会長に「代理を務めてくれ」或いは「秘書になってくれ」と言われると、
相手が要求するものの、倍以上の成果を出してしまう。
プロデューサーに「アーティストに歌わせる最高の曲を」と頼まれると、本当に最高の曲を作るので「怪しまれる」と思って音楽プロデューサーたちは一切悠悟に近付かない。
絵を描いてくれ、とスランプ中の画家に頼まれると この世のものとは思えない素晴らしい絵を描くので、同じく画家たちも悠悟には一切近付かない。
文豪並みの文章力、スポーツ選手顔負けの変な運動能力、先進国及び発展途上国の主要国の言語全てを操る言語能力。
某間黒男氏並みの医療技術、デューク東郷並みの射撃技術、
空手、合気道、剣道、柔道、書道、全て免許皆伝。
全てがチート(を超えてる)並みであった。
両親が人間ではなく、その上で完璧なバランスを誇ったため
「器用貧乏」ならぬ「器用金持ち」になった訳だが・・・
天使の母親と悪魔の父親がそれはそれは勉強やらなんやらを教えまくったのである。
あやしい薬などを飲ませて。
両親はどうしようもないくらい愛し合っていたので、愛の結晶である悠悟をそれはそれは大事に大事に育てて、たくさん智恵やら技能やら作法やらを教えたのだ。
頭を叩いたり、撫でたり、ぐりぐりしたり、様々な方法で脳の活性化を図り、、
脳の進化・機能・発達を極端に上げ、超人化させていった・・・などのいきさつもある。
しかし悠悟はその才能を使おうとはせず、「イザという時に役に立てばそれでよし」
と、普通のサラリーマンの道を選んだ。
まぁ、それも悠悟の選んだ道だし。
と彩織は一切うるさいことは言わなかった。
「才能だとか、肩書きで人間はどうこう決まるんじゃないわ。
面白みがあるかないか。それよ!」
悠悟は超能力を変に使っている点で確かに「面白みのある人間」MAXではある。
悠悟は「天使と悪魔のハーフ」で
器用金持ち、なのに欲を出さずにぼ~っと過ごした。
神様はそれを「欲のない良い人間」と判断し、
天使と悪魔の血統を受け継いでいる特殊な人間、ということもあって、
「超能力」を授けた。
どうせ有効に使わずに暇潰しにしか使わないだろうし、悪用は絶対しないだろうし。
と神様。
まさに、、その通りであった。
一連の謎の「悠悟の超能力」。
背景にはこのようなものがあった。
余計ややこしくなった、とも言えるが・・・。
(天使と悪魔の馴れ初めとか)
・・・
彩織「『四季』って4つの要素があると思うわ。
ライトロー、ダークロー、ライトカオス、ダークカオス。
・・・4つって言うと色んなものが思い浮かぶわね。
悠悟が有能なのは4つ持ってるからかもね」
僕は
「ニュートラルかな」
何処にも属さない。
少し歩いてから彩織が言った。
「じゃあ、『四季』じゃなくて。『五季』ね。
さっきの、ニュートラルってやつを足すと」
悠悟「じゃあ五季にするか 苗字」
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悠悟!
彩織がタタタッと廊下を走ってきた。
「ここ、行きましょ!」
紅葉特集のパンフレットを持っている彩織。
彩織「色がたくさんあるところらしいわ
行って損はないわねっ!」
プレイステーション7て本当に使いづらいなぁ、、とブツブツ言っていた悠悟が驚いて振り返った。
「おー」
もう秋か
しみじみ思うと同時に、
マロン系の何か新発売のもの(服とかお菓子とか)を買わないと、と思う悠悟。
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