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こわい

霧の中を、関朋子こと「トモコ」は自転車を必死にこいでいた。

「(んも~前の人影がいっくらこいでも追い付けない~
追い越せない~)」


・・・

「(おかしくない?)」


何で追い付けないの?


霧で良く見えない。


あっ あの、、、あの人は


ぐあ

目が覚める・・・

「え?」

すごい今疲れる夢見たような


・・・



おしっこおしっこ、、

ベッドから降りる。


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夢占いだと、

「あなたが大切にしている何かを失うかもしれません」

なんだってさ・・・

夢占いの本を読みながらトモコが言う。


へぇ
ミナ、こと神田美奈子が神妙に聞いている。

「でもホラ、占いって当たらないって言うじゃない?」ニッコリ笑う。


何かをうしn、、思い当たることがあるのよ

上をキュッと見ながらトモコが言う。


ミナ「思い当たること?」

トモコ「タケルのことよ。何かね、思い出しそうなの。いや、違うな。

何か恐ろしい、、いや・・・」

へ?とした顔で言うミナ。「タケル君が?」


タケルは、クラス全員が「タケル」と呼び捨てにし、先生たちさえも「タケル」と呼んでいる。

いわゆる人気者キャラ、と言えるだろう。

まるで不吉な感じでもするかのような物言いに、不思議になるミナ。

「それに、あなたたち仲良かったじゃない」
ニコッと笑うミナ。


トモコ「私 男子と仲良く話したりしないのよ。
なのに何でタケルにだけ・・・

おかしい」

「席が近いからとかじゃない?深く考えなくても」
なおも不思議になるミナ。


私いつもタケルと仲良い・・・?として、何で急にこんな気分になったんだろ。

何かを知りたくて。でもそれ知ったらヤバイ気がする。

「えー何それ・・・」
あまりの思い詰めた言い方にうっすら恐くなるミナ。


まぁいいか。

切り替えるトモコ。

「今日も~関さん、って言うだろうから『トモコって言いなさい!』って言って、、、」


ピシッ!!


頭を抱えるトモコ。

え?

『トモコって・・・』


『トモコって言いなさ・・・』


トモちゃん?どうしたの?

大丈夫?

ミナが駆け寄る。


頭をぶんぶん振るトモコ。
「だめぇ!これ以上考えちゃだめぇえぇぇ!」

ぶんぶんぶんぶんっ!!

すごい勢いで首を振っている。


「と、トモちゃん。な、なに・・・」


ぶんぶんぶんっ!

「やだっ!考えちゃ駄目ったら!!」

すごい勢いで頭を振り耳を塞いでガタガタ震えている。


と、

「トモちゃん・・・」

ミナは言った。「ほ、、保健室、行こ?」


顔を上げるトモコ。

「やだ!!

あたしもう帰る!怖い!!」

バサバサバサバサ

急いでかばんに教科書を入れるトモコ。

「と、トモちゃん・・・」


ミナは何も言えず、立ったままだった。


髪を振りみだし、「ミナ、ごめん。せんせに上手く言っといて」

あ、明日は、、明日も来れないかもしんない!

「またね!本当御免。後で電話するから!」


タッタッタッタッタ

ものすごい勢いで走り去っていくトモコ。


そしてその数分後に、のんびりした様子でタケルが教室に入ってきた。


先程のこともあり、ミナは声を掛けた。

「お、おはよう!タケル君」

「おっ。おはよう。神田さん」


・・・

タケルは席に座り、カバンから教科書等を取り出している。


ミナはくるっと背を向けて自分の席に向かった。

「(あのタケル君が何かしたようには見えない・・・)」

何があったのかな。トモちゃん。

すごく恐がっていたみたいだったけど。


『あとで電話するから』


今夜、電話を待たなきゃ・・・

トモちゃん・・・


ミナはひたすらトモコの身を案じた。


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