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縁が

プップーッ!

ブオオオオォッ!

愛凛「あ、もう!・・・なーんなの。ニューヨークの街って!」

黒いフェザーコートにポケットに手をつっこんで愛凛がフーッと肩をすくめて言う。


下はこうなだけ
朧浪(ろんらん)「ビルの上に行けば楽しいぞー」
朧浪は愛凛に微笑んだ。


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ピカピカで黒にも銀にも灰色に光る、大きくて高いビル。

愛凛「場違いだよこんなとこ(笑)」
愛凛は朧浪とコウの後を歩いて行く。


朧浪「じゃ、ちょっと私は
・・・15時くらいになるかな。
その時に家に向かう準備と説明をするからな」

優しく笑って。

朧浪は副会長室に向かった。


・・・

屋上に行く愛凛。



雰囲気を感じて振り向く愛凛。


コウ「愛凛」

愛凛「コウ母さん」


「また逃げるの?
もう逃げないで。
一緒に暮らしm・・・」


コウはそれ以上言えなかった。


愛凛は背を向けて、「あたしだって一緒にいたいよ」と
寂しそうに言った。


パキッ

ピシシッ

コンクリートに少し亀裂が入る。

屋上のどこかの・・・。


愛凛は力が強すぎて、怒り狂えば天災が起こるし、幸せに満ち溢れれば良いことが起こる。


「近くにいる人に、いっちゃん力が及んじゃうんだよね」

めいわく。掛けたくないの。
愛凛は言った。


・・・

愛凛「おにーちゃんはさ。別人なのにね」

コウが顔を上げる。

「・・・え」


くるっとコウに向き直る愛凛。手すりに体を預けている。

「兄貴!顔ぉ、、覚えてないけどね。人間なんだよね。あったしと違って」

てけてけと歩いてゆく愛凛。


愛凛「何であたしだけ人外っての、になっちゃったんだろね。
やんなっちゃう」


コウ「愛凛!」

コウ「それは、、み。溟渤(みんお)様の血、だという証拠よ」


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男性「こりゃまぁ、大輪のバラのようなお美しいお嬢様で」
女性「あらぁ本当。お姫様」
男性「女王?」

オホホホホ


ビルの最上階の豪華レストラン。

朧浪、コウ、愛凛はディナーをとっていた。

愛凛は美しいもそうなのだが、とてもきつい顔立ちをしていたので印象に残りやすい。


ラ~ラララ~

エーゲ海の真珠(Penelope。JetStreamで流れていた曲)


コウ「愛凛は『中華』が好きなのね」
コウが微笑んだ。


ニコッ

愛凛「あ、うん。
辛いのが好きなのかな?」


朧浪「それなら、中国語もちゃんとやっとかなくちゃな」

えっ

愛凛「えー難しいからもうやだ」

朧浪「愛凛・・・(汗)」




・・・


・・?


・・・




「うっす!」

何かの魔法を掛けられたのか?
幻影を見せられたのか。

敬礼のポーズをして


ある日突然
愛凛、、義渠(ぎきょ)の孫娘、溟渤の娘。


朧浪とコウの前に現れたのだ。


気付いたらもう長いこと一緒にいて、
たまにいなくなっては、探して、見つけて、またどこに愛凛がいなくなって、
朧浪とコウが探して・・・

そういうことを繰り返していた。


愛凛は 海洋科学博物館の職員になっていて、いつも水(海水?)の中を切なそうに見ていた。



いつかいなくなってしまうであろう義理の娘。
優しく見守る朧浪。

ずっと傍に居たい、と願うコウ。



愛凛「(邪魔、したくないんだけどね)」
コウと朧浪の間にいる自分がとても心苦しい愛凛。


そうだ



義渠『おまえはただ身代わりを作りたいだけだろう』
(第5話:龍と香


誰もが隠したい、透明で愛しい 紙くずのような花。


媽媽が朧浪にとってそういう存在であった。

媽媽(マーマ)=中国語でお母さん


コウはその?にとても良く似ていて、朧浪がやっと手にした
妻兼母親、という大切な存在であった。

ベタベタ、コウに甘えたい頃に愛凛がやってきたので、
朧浪は少し気の毒・・・という状況ではあったのだ。



好みだから、とズンズン行ったのは『母親に何もかも(オーラとか色々)似ていた』から。


朧浪『乗ってやってもいいが
相談があるな』
(第13話:海の女の子


朧浪は、母親になってくれというような主旨を言った。
妻ではなく、、母親に。と





よっと

勢い良く伸びをする愛凛。

ん~?

月夜を見上げて愛凛はぼ~っとした。

「いっか。もう」



キャッ!

コウが声を上げた。

朧浪も下を向いている。


朧浪とコウはスーッと見詰め合った。


そして。

透明な水を流した。


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