愛凛とみんな
ざざん。むさむさ
コウおかーさんどうしってかなぁ
春夏秋冬(ひととせ)餅を食べながら海岸のそばで考え事をする愛凛。
後ろではこの時期に開催しているお祭りの音が聞こえている。
『春夏秋冬(ひととせ)祭り』である。
女性「ちょっと。白いお餅ばっかり積むんじゃないわよ」
だから、あなたのは『青紫』から、『空色」でしょ。
男性「そうだったか?」
もう!
「折角来たのに!伝統の、、
は~ぁ、もういいわ」
?
ん・・・?
愛凛は岩に体を預けて立っていたのだが
くるっと後ろを振り返った。
愛凛「・・・・・・」
くるっ
思わず背を向ける。
女性「私はぁ、ホラ、赤紫から桃色に。ほらっ出来た!」
男性「ほー」
女性「悠悟もぉ、ホラやんなさいよ。ここの名物でしょ
もお 私やるわよ」
そぉっ・・・
再度見る愛凛。
『たかくん!』
『何だ』
『ほらぁ、口の周り、ケーキついてる』
『あっ こ、これは。わざと付けてるんだ!』
『あ、そうなの?』
・・・?
愛凛「(あのふたりがどうして思い浮かぶんだろ)」
人外の同級生。たかとけいこ。
大昔の思い出。
・・・
ふわっ
びゅううっ
びゅうううぅっ
「(男の方、すごい人みたい。・・・たかとけいこの子なのか)」
凄まじいパワーゆえ、すぐ分かる愛凛。
---------------------------------------------------
愛凛はいつも海にいる。
海から生まれて、海にいて。
海の中で眠りに就く。
文香。
「(あなたは血の繋がらない姪だった。
さっきの人。あの子が本当の姪なんだね
餅積んでた)」
『ちょっと悠悟!順番通りに積みなさいよ!(※積み餅、という名物なのだ)』
蜃気楼の起こる条件がないのに蜃気楼。
その中を歩く愛凛。
コウおかーさんどうしってかな
ロンロン(父の愛称)悲しいかな
高志・・・未だに濃い顔で物理教えてんの?
文香、、弁護士大変?
(※濃い顔関係ない)
前が見えない程の霧の中
場所は変わり、山の中である。
ヒョロロ~
ヒュルリ~
ヒョロロ~
長いこと経った。
あっ
振り向く愛凛。
---------------------------------------------------
「笛吹いてるおちびさんがいると思ったらあいりーんだった」
愛凛「会いに来たの」
「そっか。じゃあたこ焼きでも食うか」
(無駄を省きます)
「こう考えればいいんじゃないかな
『皆を見守る』っていうの」
愛凛「見守るなんてそんなガラじゃないよ」
霧の中を泳いで帰る。
愛凛は海の神の娘。
たまに山の神と会う。
(さっきの・・・)
「皆を見守る・・・」
そっとつぶやく愛凛。
「悠悟?」
男性「ん」
・・・?
「今誰か」
誰か・・・
愛凛は。
常に見守っている。
海より出でて、月に乗り、皆を見ている。
男性「良い月ですな」
(了)
BACK「愛凛と幻」 NEXT「目次」
