小さな世界 > 第3章「ミルフィーユ」
気合い
FR(ファーストクラス・ルーム)。
ユウを抱いて、正座している妃羽と、
椅子に座っている暘谷。
机に向かって言う暘谷。
「俐人様のところに戻るのか
まぁいいとして」
音楽ってなんだ・・・?
こいつ(妃羽)が支配?
にわかに・・・
(心の声)
ちょっと煙草吸わせて。
ガタッと立ち上がる暘谷。
妃羽「(ずっと煙草ばっかり吸ってるな)」
「(何も感じないのかな
ずっと一緒にいたのにな)」
『君は暘谷が好きか』
妃羽「(それは・・・ない)」
何ていう誤解を。
困る妃羽。
(ひどい)
ユウがひざの上から降り、スタタッと歩いた。
ユウ「難しいもんだな。おまえさんは俐人サマを想ってて
暘谷さんはおまえさんを大切にしてて
もちろん危害加えないって意味だぜ」
妃羽「う、うん」
にしても
「暘谷さんの机すげぇな」
暘谷の机はものすごいファイルと書類とで山のようになっている。
ぐちゃ~、という形容詞が良く似合う。
「変・・・暘谷さんいつも完璧に片付けているのに」
悪いと思いつつもすごい状況なので、後で謝ろうと思いながらユウと一緒に少し机を見てみる。
・・・なる。
事情が分かった妃羽。
講師としての様々な書類である。
妃羽は赤くなってきた。
「な、何となく、暘谷さんてやり手ーって感じがする」
書類には触らないが、何となく感じる妃羽。
「お・い」
暘谷が帰ってきた。
あ、暘谷さん。
顔を赤らめたまま妃羽が振り向く。
机に向き直る。
や、暘谷さんて有能、、ですね
や、何かか、感動しちゃって。
くる、と暘谷に向く妃羽。
「分かったから寝ろ」
ごそごそと机の書類を揃え出す暘谷。
あの
「さ、さっきの話・・・まだなんですが(汗)」
さすがに言う妃羽。
暘谷「まぁ『森林』に惹かれた理由は分かったよ
元々だと願いたいが」
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フローリングにミニじゅうたんを敷き、毛布と布団を掛ける妃羽。
隣にはユウと暘谷が高級ベッドで横になっている。
妃羽「(何でユウまで・・・)」
あったかいからいい、のだそうだ(暘谷談)。
・・・
妃羽『疑わないんですね この世界のこと』
ミニ冷蔵庫からビールを取り出し、(何でもやりたい放題)
プルタブを開けて暘谷は言った。
暘谷『何となく分かってたからかな。この世界・・・』
だからと言ってどうこう出来る訳でもないし
明日は来るし
出来ることをやるしかない
現―・・・
妃羽「(相談したかったのに・・・色々)」
暘谷「おまえの『森林』、好きだよ」
むくり、と起き上がる妃羽。
暘谷「で、大丈夫なの?」
妃羽「は、はい。・・・っていえ!あの」
大丈夫じゃねーんじゃねーか・・・
フーッとため息をつく暘谷。
「正直、怖いんです」
妃羽は言った。
妃羽と俐人の精神と物質のバランスが崩れている。
何らかの『力』が影響しているような気がする。
このままだと同じことの繰り返し・・・
知るかそんなこと!
と暘谷は一喝。
一度縁が出来たのなら、最後まで貫け!
中途半端に俺のとこ来てまたそれか!
ガミガミ
妃羽「(気合いで何とか、ってことですね・・・)」
・・・
「とりあえず、何とかしろ。←やってたらやってます
出来なかったら俺に頼ってこい」
パアァァッと明るくなる妃羽。
「怒鳴って鍛錬するだけだ。期待するな!」
「そっそんっ・・・!」
ほんの少し、妃羽のメンタルが強くなったかもしれない、FRの夜。。