鬼がくるよ
そう言い付けられていたのに、私は鬼を見てしまった。
そして、鬼を拒めなかった。
自分が鬼に化そうとすることはかろうじて思い留まれただろうか。
鬼が私を喰らい、
支配し、
それでも私は、鬼を見て良かったと思う。
鬼の中にも宝があると気付いたから。
でももう、鬼には会ってはいけないし、
会いたくない。
でも、鬼を見て良かった。
私だから出来たこと、と思うのが私の生きる理由のひとつだ。