ふることふみ

新解釈の古事記 
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第2節:オサム記

第3話:オサム記(3)


とうとう絵が完成した。

完成した瞬間、出来たー!と喜ぶオサム。

しばらく喜んだが、
ふと我に返った。

様々な思いが駆け巡る。

この作品を手放すのは惜しい、、

するとはるさんが声を掛けた。
「あの・・・

預からせてもらっていいですか?
もう出来たようなので・・・」

オサムは交渉した。
もう一枚描かせてくれ、と。
この一枚と同じくらいの質のものを必ず描くと。
あまりに素晴らしい出来なので、手元に置いて置きたいと
オサムは思ったのだ。

しばらく交渉は続いた。

はるさんは戸惑いながら、
「しかし、、あなたの集中力を思いますに
全身全霊で描いたもの・・・というものが分かります。
それと同一のものが描けるとは到底・・・」
と言う。

洞窟に響き渡るような声で、
オサムは叫んだ。
「ボカァ絶対同じものを描きますよ
描きますったら描きます!」

本当は、これ以上のものは描けないと分かってはいたのだが・・・


しばらくオサムは訴え続けていたのだが、、
とうとう折れた。

「分かりました。
ただ、僕の作品にいつでも会えるように出来ませんか?」

はるさんは驚いた。
自分の作品への愛情、子供に対するようだわ・・・と。

オサムから絵を見せてもらい、観賞するはるさん。

絵、というより、動画のようである。
絵がどんどん変わって絵が仮紙媒体の中で泳いでるような感じである。

いわゆる、同じ絵が少しずつ変わって、動いているような感じ・・・
今で言う「アニメーション」ではない。
動いている感じではなく、
絵がどんどん変わっていく感じだ。
しかもゆらゆらと。

オサムは「物質を模写した感じ、が普通で。
僕が生きていた頃(葦原中国にいた頃)はそれが普通だったンです。
これは動いているように見える・・・
何故なんでしょう。
不思議ですね。
黄泉の国の力とか・・・」
と言ってう~ん、と考察した。


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はるさんは、その絵を譲り受け、丁重にお礼を言って去って行った。

オサムは交渉に交渉を重ねて、絵にまた会えるように懇願したのだが、
はるさんに断られてしまった。

オサムの後ろからアメノウズメが顔を出した。

「見ていましたよ(※神の視力は人間と違う)
あんな素敵な絵を描く存在がいるなんてッ」
アメノウズメは両手を組み、嬉しそうに言った。

オサムは驚かず「・・・放って置いてくれよ」とすげなく言った。

「はるさんが新しい秩序を作ったんですよ。
神々ならば、複雑な手続きで人間を生まれ変わらせることが出来るって。
任せてください」
アメノウズメは明るく笑う。

・・・通常、人間の魂は、大きな『魂の混ざりあう場所』に行き
そこで混ざりあって
日本列島(葦原中国)を守る巨大な精神(それを「自然」と呼ぶ)になる。

オサムの精神をそこに混じり合わせずに
秘密の場所に取って置いて、
それに該当する肉体が生まれた時に、取って置いた魂を容れる。

生まれ変わり、をさせると。

アメノウズメははるさんが初めて決めた法則、
「神ならば人間を生まれ変わらせることが出来る」を発動させた最初の存在であった。

オサムはまだ落ち込み、あの絵にまた会いたい、と言った。

アメノウズメは
もしもこの人がまた生まれ変わる時があったら、
この人の見るもの聞くもの・・・全て素の美しさはそのまま、装飾した状態で見せてあげよう。
そう強く誓った。


第7章:その他「第2節:オサム記 ー 第3話:オサム記(3)」


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