ふることふみ

新解釈の古事記 
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第8節:阿閇皇女(あへのひめみこ)

第1話:阿閇皇女(あへのひめみこ)


阿閇皇女。 あへのひめみこ
古事記の編纂を命じた、天武天皇の姪である。

のちの「元明天皇」でもある。

彼女は華やかな顔をした女性で、
すっぴんでもフルメイクしているような顔立ちのため、
紅を差すだけで、「厚化粧だなぁ」と皆から思われた。

そのため、わざわざ薄い紅を作らせ、いつもそれを付けていた。

特に明確な理由はないのだが、
幼い頃、阿閇皇女は稗田阿礼 ひえだのあれという学者に懐いていた。

学者と言っても、少し変わっていて、
例えば漢文での文章を書くだとか、学問を修める学生たちに勉強を教えるとか、
そういう学者ではなく、
文字があまり書けないので、記憶したことを誦習(しょうしゅう)によって教えるというような学者である。

現代で言う所のサバン症候群であり、
一度見たものを二度と忘れない、という特徴を持っていた。
通常は障碍者の人がサバン症候群になる確率が高いのだが、
阿礼は珍しく、人が若干苦笑するほどの聡明さを持っていた。

普通の人間よりもむしろ強すぎるくらいの聡明さを持っていたため、
外国人に対する日本人のように、周りの人々は振る舞った。
あまり、関わりたくない、とでも言うか・・・。

阿礼は、自分が個性的なのかと思い、自分をあまり尊敬出来ないような人格に育ってしまった。
皆と違う、という要素はいくら優れていても決して良い物ではない ― そんな価値観がその当時はあった。

個性のある人間を排除し、皆と同じにすることが、
しいては争いを避け、日本が滅びずに済んだ原因のひとつにもなってはいるのだが―・・・
極端なものは確実にその人間を萎縮させてしまう。


しかし、天武天皇時代に、日本の歴史、神話をまとめるという大仕事をする際に
大活躍した。
日本各地の伝承、記録、伝説を全て暗記し、
その中でも共通して多くの書物が同じことを書いてある部分を抽出し、古事記を作っていった。

天武天皇の奥さんである持統天皇は
天武天皇がその能力を買い、大いに可愛がっていた稗田阿礼に焼き餅を妬き、
・・・天武天皇の崩御後、もう書かなくてもいい。もっと若い人に書いてもらいなさい、と
稗田阿礼の古事記編纂をストップさせてしまった。

持統天皇は「似た者同士ですか」と思う程、天武天皇と同じくらい有能な天皇で
この天皇のおかげでどれだけ日本が発展したか・・・と思わせるぐらい能力のある女帝だったのだが、
この出来事が、神の怒りに触れたのかもしれない。

持統天皇はたったそれだけのことで、、あまり良い天皇どころか悪い天皇として名を馳せてしまった。
(運命的にとでも言うべきか)


話は戻り―

少し時が進み
結構歳を取った阿礼に。
天武天皇の姪である阿閇皇女は懐いた。

まだ幼い頃に阿閇皇女が命じて、
身分が離れているにも関わらず気軽に話せる仲になっていた。

阿閇皇女もまた、あまりに美人すぎるため、
ちょっと怖い・・・と周りが避けたというかソソソッと離れて接したというか・・・
稗田阿礼と同じで「優等な意味とは言え、個性的過ぎて孤独に追い込まれる」という立場にいた。

そして同時に、大の叔父大好きっ娘でもあった。

阿閇皇女
→天智天皇の娘

天武天皇
→天智天皇の弟


亡き叔父が完成を楽しみにしていた古事記。

阿閇皇女は天皇になり、(=元明天皇)
ある秋に、庭を掃除していた女性と成り行きで世間話をしていた。

叔父の天武天皇が命令して、編纂されていた未完成の『古事記』の続きが見たいというような
話をすると
「貴方様が御命じになれば宜しいのに」と言われ、
「確かにそうかも」と気付いて、

急いで稗田阿礼を呼び出した。。


女性は、「あれ?」と首を傾げた。
違和感を感じたのである。

ちなみに元明天皇はその容姿で、誰からも怖がられていたので(気味悪がられる、が正しい)
友達だとか話をする人間がほぼ使用人ばかりであった。。


第7章:その他「第8節:阿閇皇女(あへのひめみこ) ー 第1話:阿閇皇女(あへのひめみこ)」


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