ふることふみ

新解釈の古事記 
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第7節:兄と弟

第3話:歴史とは?


以下、絵崩し文字(便宜上そう呼称する)。

弟、ウジノワキは自身が年下にも関わらず皇位を継ぐことを厭い、
兄、オオサザキと何度も話合いを経た。
ついに心労の末、ウジノワキは亡くなった。

タケルは驚いた。
「あった!ホントにあった。
まさか本当にあるなんて。全然知らなかった」

当時、歴史だとか伝承だとかに興味を持つ者はほぼいなかった。

なのに何故書物だけでも家にあったのか。
インテリアみたいなもので、「とりあえず有る」みたいな感覚で
ほぼ九割(以上)読まないのに、飾りのように置いてある存在が
伝承書、昔話、歴史書。などであった。

・・・
しかし兄、オオサザキは、その事を負い己のせいにした。
自分が暴力をふるったから、いじめたから、、と散々嘘を付き
自分が追い込んだと吹聴した。

ぶるぶる、草紙を震わせながら読むタケル。

「どれが、、どれが本物なんだ。
老師が言ったことが本当なのか、伝承話が本当なのか」

当時は、朝廷と庶民たちとの距離が離れており、
気軽に国の中心(京都、奈良周辺)に行けないし、
何が起こったのか、というのを朝廷にすぐに報告出来ないし
朝廷で起こっていることがすぐに分からない。

テレビもないし新聞もないから。
伝達手段が限られているので、距離もあるし、精神的な距離もあった。


真実を知る手立てはない。
人間には、とりあえず「何が真実なのか?」を察知する能力はない。

伝承されているものは、どこまでが本当なのだろう。
丸っきりデマのものもあれば、ちょっとした違いだけのものもあれば、
伝承されているもの以上のことが実際にはあった・・・かもしれない。


神代の昔―・・・
三貴神の一柱、天照大御神の弟君、須佐之男命はヤマタノオロチを倒す際、
酒に酔わせて倒すという、卑怯な戦い方をしたという伝承がある。

ひょっとして、実際はスサノオは、もっと簡単に倒したのでは?
かなり余裕で、酒とか使ってなかったのでは。
むしろ足手まといになりそうなクシナダヒメとその両親を助ける余裕もあったとか?

「歴史は、人から人へと、伝えられるうちに・・・それが何百年も経てば
どうしても歪められて伝えられてしまう部分は、、ある可能性がある。
どんなに正確に伝えようとしても、権力者の都合の良いように書き替えられるかもしれない。
妬みで、悪く書かれることもあるだろうし、
逆にあまりに気の毒だからと、良く書かれるようにされたことも、あるのかも・・・」

それじゃあ、結局正確に伝わらないのだから、
歴史書なんて残す意味がないじゃないか。


そんな気持ちを前もって察したのか。
突然、かまどの穴から、フクロウが家に飛び込んできた。

タケルは驚き、フクロウはケホケホッと咳き込みながらパタッとタケルの前に降りた。
「そんなことないぞ!」と第一声を放った。

「歴史書は作らなければいけない。
僕が言ったあの話は嘘だ。嘘八百だ。「信じられない、本当なのか?」という気持ちを
芽生えさせて、教えられるのではなく 自分から調べる、という方向に導きたかった」

そもそも独り言を言っていたタケルの言葉を聞いていて、
家に入ってきて「そんなことないぞ」とツッコミ。
面食らうタケル。

しかし、頑張ってタケルは言う。
「でも、あの話は酷すぎます。オオキミを侮辱してるし、内容が内容というか・・・
興味を持たせるにしても」

フクロウはイラッとしながら答えた。
「君たちはこうでもしないと歴史に興味を持たないだろ!
嘘でも本当でもいいじゃないか。
国の歴史だぞ。
興味持てよ、調べろ」

言葉は強いが、結構のほほんとした言い方ではある。



フクロウは言った。
「・・・どんぞこに突き落としてね。
それで救いを与えるんだ。
そのやり方をやってきた」

つまり、刺激的なことをいって衝撃を与え、
その後に救いを与えて記憶を残す。

「君たち(日本人)は歴史に興味を持たなすぎだ。
・・・歴史は国の基本だからね」

目の前に映っていたのはフクロウではなかった・・・


第7章:その他「第7節:兄と弟 ー 第3話:歴史とは?」


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