ふることふみ

新解釈の古事記 
TOP章ごとの目次第5章:大国主の話

第2話:ヤガミヒメ


八上比売やがみひめ―・・・

八、はたくさんの、という意味。
上、は優れているという意味である。

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天之冬衣神の屋敷内―

フユキヌ「どうやら、因幡国(いなばのくに)に、とても健康な女性がいるらしい」

時刻は夜。
家来(家臣?)たちと妻と共に話し合っている。

「健康な子供を産む女性を探している。
・・・どうやら因幡国の『八上比売(やがみひめ)』という女性が適任のようだ」

ざわつく大部屋。

部屋に焚いている照明道具から炎が、ぽうっと動いた。

フユキヌの妻は色々と言った。
家臣たちも色々と言った。

因幡国は、少し僻地で、荒ぶる神も出るのではないか?
治安はどうなのか・・・

フユキヌは思う。
田舎過ぎるということだな・・・
因幡国の方をくるりと振り返る彼。

「因幡国は僻地かもしれない。
でも、女性は・・・良い女性がいい。
八上比売は素晴らしい女性と聞く。

一見華奢だが、素晴らしく健康面が優れていると。
そう噂を聞いた―
各地でその噂の真相を確かめ、―私が留守にしていた時もあったと思うが
衣を作るのも休止して。

噂の真相を調べて来た。
あれは本物だ」

フユキヌはお茶を飲んだ。

確かに、ここしばらく、フユキヌは留守にすることが多く、
各地の有力者だとかそういう神々たちと交流やら、
何か考えがあって外に出ているのかと思っていた皆―・・・

妻「(そういうことがあったのね。
主人の言うことなら、きっと正しいのだわ)」



オオナムチ自室―・・・

母親がオオナムチの傍に来た。
オオナムチは薄手の衣を縫っている。
早くも、我が子が出来た時の産着を縫う、その練習をしているのだ。

彼の中で(当然だが)子を作るのは、現代で言うところの
工場で製品を大量生産する感覚と少し・・・だけだが、似ている。

憂いのあるその表情、男の色気がたっぷり(すごい表現)漂っており、
さぞ、女性を魅了すること請け合いである。

狭めの部屋はいくつかあるオオナムチの自室のうちのひとつであり、
たくさんの本が置いてある。
そこで、胡坐を掻きながら、灯をともして縫っているのである。

こげ茶色の床の上で立て膝気味に母親は座り、
薬草だとか、薬も絶対に持って行きなさい、と慌てて言った。

気が付くと、母親は大きな袋に、大量の薬草、薬、本などを詰めていた。

オオナムチは落ち着いていたので、
「(心配しているんだな・・・)」
と思った。

オオナムチに万が一のことがあったらと、母親は気が気でないのである。
かと言え、母親が一緒に行っては・・・


パラリ...と、落ち着いてオオナムチは『子供(男子)の作り方』の書物のページをめくった。
しばらくして、「(全員男にするのはホネだな・・・賭けみたいなものだし)」と汗をかいた。


八上比売(以下、ヤガミヒメ)を思う彼。
八人くらい産んでくれないかな。

八、なだけに。
とクスリとひとり笑う。

ちなみに、ヤガミヒメは愛称で、本名ではない。
全てが優れているという愛称ゆえに「ヤガミヒメ」なのである。


第5章:大国主の話「第2話:ヤガミヒメ」


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