ふることふみ

新解釈の古事記 
TOP章ごとの目次第4章:葦原中国での話

第4話:込冊子


スサノオは、オオゲツヒメの体から出た、大量すぎる穀物の種や、他のものを、、
これはこれ、これはこれ、
と、丁寧に分けていった。
大きさ別、色別、・・・。

穀物、と芋類、をその他を分け、
それぞれをさらに種類別に分けた。

そしてそれらをさらに
腹もちがするもの順
品質が良いもの順、
繁殖力が高いもの順・・・

と、
実際にミニ畑を作って
種をいっこいっこ植えて、
それらを食べて、観察、研究?を
して丁寧に丁寧にまとめて
大量の資料を作った。


全部出来た時には、三日も経っていた。

(※この頃の作物収穫速度は、神様と人間とで違い
基本的に一種類の種につき、早くて二時間、遅くて半日で収穫出来る)


ニコニコ笑うスサノオだったが、


やはり涙は流れてくるもので、
すぐ暗い顔になった。

大量の資料は、ふとももの下に敷いたまま、
小さな川に足を付けて座った。




葦原中国のツクヨミの社。

月なので、白基調のしっとりした社かと思いきや、
結構華やかな感じの社であった。

お茶を飲みながら、
「貴方があちら(高天原)で・・・」
スサノオがやらかしたことを言い、とても、心配していました。と言うツクヨミ。
個々のことだし、何より姉上とのことだったから、
双方の問題だから、頼まれもしないのに行く・・・関わるのはアレだと思ったから、
見守らざるを得なかった・・・

と落ち着いて言うツクヨミ。

「しかしこの資料は素晴らしい」
無表情で言うツクヨミ。

「是非本にしたい。装丁したい。構わないだろうか」

「字、汚いよね」

「うん汚い」

「しかし中身が大切なんだよ」
と真剣に言うツクヨミ。

落ち込むスサノオだったが・・・

ツクヨミは気付く。
本の挿絵の、素晴らしい絵の上手さに。
絵だけ見て、「文字邪魔」と言いたくなるほど、上手い。

「(もしかしたら、精神:物質配分が9:8だから、
もの、の生産(能力)が凄いのだろうな)」

「いい本作ってくれよ
絶対に・・・」
うなだれながら、しかしとても真剣に言うスサノオ。


そして、少しして。

でっかい麻袋を持って去ろうとするスサノオ。

「待て。君の子たちを連れて来た」
引きとどめるツクヨミ。

そこには、自分そっくりの、勝気そうな、
姉の紅石英で作った三姉妹がいた。


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「きりちゃん、しまちゃん、たぎつちゃん!」
父親(スサノオ)は叫んだ。

「父上ー!」

三姉妹はスサノオに突進して行った。

長女の多紀理毘売命  たきりひめのみこと(愛称:きりちゃん)は少し泣いて「良かった・・・」という表情をし、

次女の市寸島比売命  いちきしまひめのみこと(愛称:しまちゃん)は顔をくしゃくしゃにして「会いたかった」的な顔をして、

末っ子の多岐都比売命  たぎつひめのみこと(愛称:たぎつちゃん)は嬉しくて嬉しくてしょうがないというように飛び切りの笑顔を見せた。

少し前までは、悲しみの涙を流していたのに、今は喜びの涙であふれるスサノオだった。


第4章:葦原中国での話「第4話:込冊子」


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