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第7章:その他

第12節:鳥

第1話:春告鳥(ほととぎす)

新解釈の古事記


霧掛かった日本と言う国。
この頃は「日本」という呼び名ではないけど、何故かこの鳥はそういう呼び名を知っていた。
知っていたというか、先取りしていたというか。

この頃の春告鳥(ホトトギス)は緑色ではなく
薄い茶色だった。
そして細かった。

ホトトギスのご先祖というか、呼び名としては原始春告鳥とも言うべきか。

ホトトギスは日本が大好きだった。
この『風景』ではなく
『物語』を伝えたいと思った。

風景ではなく『物語』ー・・・

平面的なものでなく、立方的なもの全てを言っているのである。

全てを伝えたいー・・・。

彼は自身を「詩人」だと思った。

一般的には、スサノオが日本で最初の和歌を詠んだということで
最初の詩人(?)とされているが

本当に『最初の詩人』はこのホトトギスなのかもしれないー・・・


はるさんから生まれた『鳥』という動物。
本当に古い動物である。

高天原でもタカミムスビやカミムスビが動物を創造してはいたが、
葦原中国のが出来てオリジナルの動物が出来た、かなり最初の動物であった。


○はるさんから生まれたホトトギス

○後に、スサノオから生まれた、フクロウ

同じ鳥種族で言えば、スズメがアマテラスから生まれている。

鳥たちという動物は一体何なのか。

人間は空を飛べず、
神々は空を飛べた。

神々の飛ぶ、という気が動物として出来たのが、鳥かもしれない。


ホトトギスは日本のこの空気や神々の笑顔、人間、
葦原中国オリジナルの植物、動物、昆虫ー
全てが、全てが美しくて
この溢れそうな想いを伝えたいと思った。

伝えたい、という意識について、ふと疑問に思うホトトギス。

「残したい」
ーいずれ死んでしまうから。

「皆に伝えたい」
ーきっと伝えられた生命たちは嬉しいだろう。

でも
でも特に愛しく思ったのは
神々ではなく、むしろ小さく生きて可愛らしく楽しく
独特に生きている『人間』たちだ。

寿命が少なくて、体がとても弱くて
すぐに土に還ってしまう生物なのに。

『何でこんなに愛おしいのだろう』

ホトトギスはいつも思っていた。



ー彼は、人間として、 稗田阿礼 ひえだのあれいとして生まれ変わった。

そして、何故か
運命の為せる技か

ホトトギスの頃の記憶を持ったままこの世に生を受けたのである。

ことばで伝える。
内側で覚え、そして口で伝える。
誦習  しょうしゅう(繰り返し声に出して学ぶこと。覚えること)に拠って
物語たちを、様々な記憶を人々に教え、伝えていった。

物に書くことは苦手であったが。

それは『もの』よりも『こころ』に重きを置いていた人物であるが故

書物に残すよりも、
心、に残し 記憶しそれを言葉に出して伝える、そういう方向に出たからであるー・・・


こころ、で伝えようとしたホトトギス、
そして

もの、で伝えようと奮闘したフクロウ。

『君たちはこうでもしないと歴史に興味を持たないだろ
国の歴史だぞ。
興味持てよ、調べろ』



鳥たちとは何だろう

日本が、どれ程 美しかったのか
どれ程 素晴らしかったのか

それを伝えたかった

天の言葉、ー・・・
そんな存在なのかもしれない


第7章:その他「第12節:鳥 ー 第1話:春告鳥(ほととぎす)」


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