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第7章:その他

第2節:オサム記

第2話:オサム記(2)

新解釈の古事記


彼の名前は分かっていない。

しかし人間の生活上、名前がないと生きていけないと思われるので
あることはあったのだろう。

便宜上、「オサム」という名にする。


彼は生前、現代で言うところの「市役所」のような場所で
絵を描く仕事をしていた。
イメージでいうと企業イラストレーターと言ったところだ。

彼は歳を取って仕事を引退した後、絵で何か大きなことをしたいと思っていた。

しかし心臓麻痺のような突然死を迎えてしまい、その夢は途絶えた。
亡くなった瞬間、目を開けたまま「マジでぇ?」という顔をして魂が抜けて行った。

ちなみに、
亡くなった瞬間、
葦原中国での肉体と、
まるでコピーするかのように、その状態での肉体が
黄泉の国にも出現する。

魂は、そのまま黄泉の国に行くのである。


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生前のことを思い出して、落ち込むオサム。

「何か大きなこと・・・
ただ、何かがしたかったんだよな」

ぼおっと物思いに耽るオサム。

絵うまいねー!
天才!
僕も描いてー!

そうちやほやされた少年期。

それは大人になっても続き、「是非絵を描くお仕事を」と
役所に頼まれ、様々な物体を、一生懸命模写をする、、という人生だった。

そのうち、何か出来ないか?と考えるようになって
それを考えてモヤモヤしているうちに亡くなってしまった。

「(何かやりたかったんだよなぁ・・・
絵を描いて、、それで何が・・・)」

当時はもちろん、漫画だとか絵本の挿絵のような
「絵を連続させて物語を作る」というような発想そのものがなかった。
ぼんやりと、概念はあったかもしれないが、ハッキリしておらず、曖昧だった。

気付くと、
細い白い物体を口に咥え、
まるで煙草を吸うかのような仕草をするオサム。

この頃にはまだ煙草はないはずなのに、時代を先取りしていたと思われる。


ザザッ......
洞窟で座っていると、
何処かから音がした。


そこには、美しい女性が。

オサムは震えた。
誰この人・・・
いや神様なのかも?
誰だ?

心の中で色々思いながら、固まっていると

「あの・・・絵を描く方がいると聞いて」

すぐに断るオサム。
ふんっ、と腕を組んでそっぽを向いて
拒否する。

そもそも何故絵を描く人間が黄泉の国に入ったという事を知っているのか、
あなたは誰なのか、
そんなことを聞き、じっくりとその女性と話した。

しかし―
「この国の始祖様・・・御大層な・・・
僕はそんな大役務まりません。
ちょっと用事が・・・」

当然すっかり面食らい、逃げ出そうとするオサム。

しばしの問答の後、はるさんはへたり込み、しくしく泣きだしてしまった。

しょうがないなぁ・・・と諦め、
この頃の紙媒体のようなものに筆を執り、描こうと決心した。

絵道具ははるさんが出すことが出来た。

オサムは初めはやる気がない感じで描いていたのだが、
秒でやる気が出て夢中になってシャッシャッと筆を走らせていった。

仮紙媒体はその勢いでピカピカ光る程だった。


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