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第7章:その他

第5節:伏雷神

第2話:その雷光

新解釈の古事記


タカミムスビは怒り狂っていた。

後の天神様、菅原道真はそんなタカミムスビを必死に止めていた。
「私が悪いのです。私が!」

必死に止めているその顔は、声とは裏腹に落ち着いている。

「許せん!成敗してくれる!人間g」
言い切る前に
道真は「やめて下さい!」と強く止めまくっていた。

タカミムスビは、はるさんにゆずってもらった八柱の雷神たちを我が子、いや
我が子以上に可愛がっていた。

その八柱の中の美しい色白の雷神、伏雷神、
・・・菅原道真はとある藤原氏によって悲しい亡くなり方をした。

立場的にあまりにも上の存在にいるタカミムスビは、
人間どころか、神々にも干渉はしないのが普通であったが・・・

あまりの怒りに、道真を死に追いやった人間を成敗しようとした。
もう誰にも止められない、という勢いであったのだが、
唯一、それを止められる立場であった道真が、必死でタカミムスビを止めていた。


菅原道真。

現在、九州の大宰府で天神様として祀られている学問の神様、兼雷神様である。

齢十一歳にして漢詩を詠み、
現在の東京大学学長に当たる文章博士(もんじょうはかせ)という職についた学者兼政治家である。
(資料:山陰亭


雷神だった頃、「八」という数字があまりにも力のある数字だっただめ、
八柱のうち一柱が神を降り、人間として生まれ変わらないといけない・・・という出来事が
起きた時
「私だけ違う外見をしている。私だけが違うのだから、私が降りた方がいいだろう」と
あっさりと願い出た。

人間に生まれ変わる、ということになった途端に、伏雷神(道真)以外は全員同じ外見だったはずなのに、
例の一番強い「火雷神」だけが形を変えた。

雷、という集団になると、
一柱だけが何故か外見が変わる・・・という法則でもあるかのような。

伏雷神とは違い、「男」をそのまま体現したような男らしく、金色の目をした色気のある神だ。
髪の毛は短く、基本黒髪なのだがポツポツと金髪が混じっている。
逆立っていたはずの髪ではなくなっている。
カテゴリー的にはなつさんに近い。(色気があるという意味で)


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伏雷神は道真として生まれ変わったが・・・
生まれつきやや冷笑を浮かべるような、人を冷ややかに見るようなところがあった。

それは雷神がゆえの仕方ない欠点であり、
彼が兄弟神たちの欠点を一手に引き受けた、とも言える。

雷神にはそういう部分がないと雷神として機能しない、、とも言うべきか。

ちなみにミカヅチに欠けていたのはこの部分で、
有るにはあったのだが、不完全なまま ふにゃっとした形で宿ってしまったのである。



さて。
手のつけられない状態になっていたタカミムスビだったのだが、
道真が必死に止めた。

「私がきっと至らなかったのでしょう。人を小莫迦にしていたのかもしれません」

冷笑を浮かべていたのはせいぜい少年の頃で、大人になる頃には様々な人生経験を経て
そんな不遜な人間ではなくなっていたのだが。

道真は必死に止めまくり、タカミムスビがやっと成敗を思い留まって高天原に戻った後、
微笑を浮かべた。

静かに、かつての神代の頃の記憶が少しずつ戻って行ったのだが・・・

自分の事は自分でしなきゃね、と嗤った。




清涼殿の落雷事件は、後世に伝えられた事件である。
世に言う、「道真の祟り」と言われる宮中落雷事件だ。


未だに、との関係者たちにしか、本当の事は知られていない。

本当はもっと・・・


雷神とはそのような恐ろしいものなのだ。

だからこそ、優しくないとすぐ世の中が破壊されてしまうため
優しくないと、なれないのである。


天上のミカヅチが優しすぎて優柔不断なのは、
そういう事情から来ている。

雷を創るのはそれほどに難しく、
神産みを止めよう、と言ったのに、雷の日になつさんと神を作り、
神避りしてしまったはるさんが、
黄泉の国の穢れで以って作った雷神が、
一柱ではなく八柱に分けられる形にはなったが、奇跡的に創ることが出来た・・・
という訳だ。


第7章:その他「第5節:伏雷神 ー 第2話:その雷光」

第5節:完


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