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第1章:天地創造

第2話:下の世界に

新解釈の古事記


・・・と言う訳で。
ミナカヌシは、高天原の、もっともっと更に高い場所から、
下を見下ろした。

完成されている双神(ならびがみ)。
自分のすぐ前にいて、下~を眺めているふたりを見ながら、「まだ駄目だな」
と思うミナカヌシ。

聞いてなくてもどうでもいいやと少しつぶやいた。

「・・・独神(ひとりがみ)はめったに生まれない。
色んなものが誕生するには・・・
独神を待っていられない」

くるりとミナカヌシの方を見るイザナギ。
「この場所に連れて来たのは何故ですか?あの下のを何とかするのですか?(汗)」

くるりときびすを返して遠くへ行ってしまうミナカヌシ。

イザナギの横にいたイザナミ・・・イザナギの妹・・・は言った。
「独神は待ってられないって。
双神(ならびかみ)で・・・何かするのかしら」

独神・・・夫婦の組としてでなく単独で成った神。
双神・・・男女一対の神 。夫婦神。


あくる日、
「下のあの世界を、何とかしなさい」
と威圧を掛けてミナカヌシはイザナギとイザナミに言った。

言いづらいので、
イザナギ=なつさん
イザナミ=はるさん
で統一する。


「着いて来なさい」と
ミナカヌシは、高天原と下にあるドロドロ世界の、丁度中間にある
「天浮橋(あめのうきはし)」に連れて行った。

ミナカヌシは天沼矛(あめのぬぼこ)という、
下の世界のドロドロとしたものを固める矛を、なつさんに渡した。

なつさんは物怖じせずに、下の世界をぐるぐる回した。

これから一体どのようにするのだろう、と
後ろにさっきまでずっと見守っていたミナカヌシの方へ目をやる はるさんだったが
ミナカヌシはいつの間にかいなくなっていた。

下の世界に行ったら
「高天原に届く大きな柱」
「大きな宮殿」
を建てなさい、という指示を受けたばかりで
それ以上は何も聞いていない。

高天原より上の、例の場所へはホイホイ行けない。

仕方ないので、ただ黙ってなつさんはぐるぐる矛を回していた。
そして簡単にぽこり、と足場のような場所が出来た。
何のためらいもなくなつさんは降り、
そして無表情で矛を回し続けた。

はるさんは島が出来たことを喜び、ポンッと島に降りた。

なつさんとはるさんはかなりでかいその島の、樹が密集した場所を見つけた。

そしてふたりで根っこから樹をことごとく抜き取り、
それらを合成して、
ミナカヌシの言っていた、
「高天原まで届く樹」を据えた。


そして樹が密集している場所から樹を全部引っこ抜いてしまったので、
島中を探して樹を集め、手分けをして宮殿を作った。

出来上がってみるとふたりは嬉しくなり、ミナカヌシに置いていかれたことも忘れ笑顔になった。
すぐに天沼矛(あめのぬぼこ)を取り出し、はるさんはドロドロしているところをかき回したのだが・・・
島が全く出来ない。

そうだ。ここの島の名前を決めようと、マイペースになつさんは言い、
「優彩島(おのごろじま。古代の読み方)」にしよう、と矛をぐるぐるかき回した。


・・・

結局、矛で島は作れずふたりは途方に暮れた。

「それで・・・オノゴロジマって何?」
はるさんは問う。

「素晴らしい島、って意味だよ」
と説明するなつさん。

はるさん「ふうん。そうなんだ」


しかし矛で島が作れない以上、このオノゴロジマで国造りをするしかないのかな、と
はるさんは言う。
しかし、ミナカヌシが「高天原のようなところにしろ」
と言っていたのを思い出すふたり。


第1章:天地創造「第2話:下の世界に」


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