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超進化

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カッコイイは元はアルキスが飼っていたネコであった。

神父様にお願いし、石像にしてもらったのである。


RO(ラグナロクオンライン)を初めて少し経った頃、
「冒険者になってこの子を飼うことが困難になりました」

とプロンテラ(ルーンミッドガッツ王国の首都)で一番偉いヨボヨボの神父に相談をした。

きっと誰かに託したところですぐに飽きてポイッと捨てられてしまうかもしれない。
ゲーム内なら尚更、、と。

優しいアルキスである。

神父は考えた。
「石像にしよう」と。

注釈だが、トラになったのはずっと後であって、この頃は「普通のネコ」である。


さて石像になることについて。

それならば痛みもないし生きることでの弊害を感じることもない。

いずれ呪いを解く必要があるが・・・。


神父「この子は恐ろしく愛情の深い、憎しみも深い人間に気に入られることで真の幸せを手に入れられるだろう」

深い愛情を持っていれば「捨てる」なんて選択は絶対にしない。
その代わり、「愛情=憎しみ」のため、深い愛情を持つ分憎しみのエネルギーも半端ないため、その怖さも受け止めなければならない。


そのまま秘密の場所に置いておけば、長い間放置されることになる。

神父はあえて控えめに「この世界のどこかに石像が埋められてて、呪いを解くとペットになる」と噂を広めておいた。


にゃぁ

カッコイイは鳴いた。

一応マジックでカッコイイって書いとくか、とアルキス。

キューッキュッキュッ


おでこに「カッコイイ」と書いておいた。


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げほっげほほっ げっほ!

げほっ げほっ

げほほーっ


「ふぅ」


キャンティ(松明のようなもの)をかざし、やってきた魔術師の女性。


長い事使われてなかった、誰にも気付かれずにいた薄暗い地下道。

ほこりとかそういう問題でないくらい土だらけである。空気も。

そこにあったネコの石像。



「カッコイイ?」

おでこに文字がある。

「(これがこの石像の名前なのだろうか・・・)」


でもこれは・・・

意図的に石像にされている、ということは霊力がある魔術師職だからか、すぐに分かった。


プロンテラ大聖堂。

神父「あふっ おふっ ふぅ。 おみゃ〜さんが見つけなすったんけぇ」

ソフィア「んだ。わしが見つけたんす」


昔は普通だったが、歳を取った時に「こういうしゃべり方をマスターしよう!」と日本昔ばなし口調を勉強していた神父。


ゲフェン(魔法の都市)の例の地下道。

土ぼこりに喉や肺をやられないように細心の注意を払い、
ふたりはその下にそろりそろりと降りて行った。


神父はくるっ!と振り返った。

うっ、と思うソフィア。

君は
「責任が持てるかね。どんな怪物になろうとも、、それは君自身を表す。

君の中に怪物が眠っていれば、それを吸い、カッコイイなる石像は天をも食い破る化け物と化すだろう。
『アルキス』、、という元の飼い主がそういう呪いを掛けるようにとわしに頼んだんじゃ

中途半端な飼い主が今後付かないようにな」

神父の声は「さっきの日本昔ばなしの神父様は?」の声になっていた。


そっと石像を持ち上げるソフィア

「大丈夫!ずっと一緒にいようねっ」

満面の笑みでポンッと頭を叩いた。


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ソフィア「うっひゃ〜!展望台が見下ろせるなんてぇ」

神父「大丈夫かね、、転げ落ちたら戦闘不能になってしまうぞ」


12M超えのトラ、、恐虎(きょうこ。恐竜並みにでかいトラの意)になってしまったカッコイイ。
(座ると6M)

憎しみの方か愛情の方かは分からない。
どちらでもないかもしれない。
あやしい精神性がカッコイイを巨大化・・・させた。

中途半端な飼い主なら悪質なモンスターと化し、あっという間に悲劇が起こっていたであろう。

そして石像の呪いも元に戻り・・・
ということになっていた。

神父「(アルキス殿に頼まれた呪いはそれほど強固なものだったというのに・・・)」

きゃっはっはー

楽しい〜♪
頬を桃色に染めながらソフィアは楽しそうにカッコイイの上に乗って楽しんでいるようだ。


神父が魔法を解いた訳ではない。

ポンッ!と頭を叩かれ、プライドの高いカッコイイは一気に目が覚めてしまい呪いが解けた、、という訳である。


神父様の力って偉大なんですね〜
うっわ〜、というように言うソフィア。


神父は、この人こそ真の飼い主なのだろうと確信した。

「(この恐虎を飼えるなんて、、何かこう、、面白い)」

神父は吹き出しそうになるのをこらえた。
(余りにも非日常的だったからと言える)


カッコイイは激しく不機嫌であった。

プライドが高いので(恐虎になって更に10倍くらいになった)頭叩いた!と悶々していた。


カッコイイに乗り、プロンテラに着く直前で降りる神父。

最後の最後に「小さなネコに変身する術」をソフィアと共に掛けた。


2日後、やっと成功し、それをカッコイイが自分自身に掛けられるようにしつけをした。
(カッコイイは1を聞いて10を知りすぐに覚えた)


「お世話になりました!」

ペコッとお辞儀をし、カッコイイネコを連れてプロンテラを後にするソフィア。


ふぅ


大きいトラのままの時は驚かれたね。とお風呂あがりに言うソフィア。

ぬいぐるみを極大魔法で大きくしたら失敗してしまって、と神父様がとりなしてくれたから良かったものの。


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ワイシャツ姿でワインを呑みながら、『元の世界で』ティルル家のベランダでぼーっとするアルキス。
(ティルルはひとり暮らし。ここにはいない)

「(カッコイイは元気かな
きっと元気なはず!)」


空にはキレイ過ぎる満月が浮かんでいた。


アルキスはそっと微笑んだ。


 

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