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クラムチャウダー

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パチパチパチパチ・・・

暖かい暖炉。


アルキスという、ティルルというお嬢様の家の執事という人物が、ここ雪の街・ルティエにやってきていた。

アルキス『ティルルお嬢様、ご職業は決まりましたか』

ええアルキス!

私は魔法使いになるの!


魔術師女性の初期の少し露出した姿を想像し、射手や聖職者などはいかがでしょうか(露出がない)と提案するアルキス。


ティルル『いやよ!私は攻撃魔法でブイブイやりたいのよ

魔法使い以外はイヤ!』


パチパチパチ・・・


クラムチャウダーをズズーッ飲むアルキス。

(クラムチャウダー=魚介類やじゃがいも、ベーコン、クリームなどを入れて仕上げに二枚貝を入れて煮込んだスープ。結構日本でもお馴染み)


見てアルキス!

格好良いでしょ!

マジシャン(初心者魔術師)に転職したティルル。

結構セクシーな衣装だ。


『はしたない』


パシーン!(いつもビンタする)


『無礼者!主人の容姿をそんな風に言うなんて!』


その衝撃で(STR1じゃないだろうっていう腕力で)腰を抜かしたポーズになったアルキス。

STRとはステータスの一種で打撃による攻撃力を表す。魔法使いは通常一切これは上げない。


ティルルは遠ざかっていって・・・



あの格好が周りのどうしようもない男(自分のこと棚上げ)に見られたら厭だな・・・的なことをぼんやりと考えていた。


一方ティルルは・・・

アルキスが服装的に格好良くなったり、モテたり(アルキスはかなり女の子(男の子にも)モテる)すると

『アルキスは高級品だもの』

と、まるで自分の家の犬や骨董品が素晴らしいのよと自慢するかのように上機嫌になった。


アルキスは彼らを全スルーしていた訳だが。
(ちなみにアルキスはゲ○にもニュー○ーフにもレ○ビ○ンにさえモテる)



パパとママはあたちのこと嫌いなのかなぁ・・・

そんな小さい、まだ5歳のティルルを

『そんなことありませんよ』

と抱きしめた、あの頃はまだ素直で可愛らしい子だった。


アルキスは成人したてであった。



アルキスが好き放題やらせたからなのか・・・

女王様だったり泣き上戸だったり怒ったらとことんまで怒ったり、謝ったら驚く程泣いたり、或いは突然お嬢様というか淑女になったり・・・

真面目モードの時は極度に真面目モードになったり、集中している時は寝るのも忘れるほど集中したり。


そういう「訳の分からない人格」になった。


『あなたのせいよ!あなたが変に育てたから!(責任転嫁かよ!)』

とティルルはアルキスを責めたが、


アルキスが育てたことで最低限に抑えられたのだ。本当は。

先天的に彼女は典型的な気分屋なのであった。


好き放題やらせたのも、そうじゃないとこの要素がやばいことになる、と判断したがゆえだった。



RO(ラグナロクオンライン)の世界ではなく、

元の世界でティルルとアルキスは「お嬢様と執事」の関係であった。


『アルキス、ROというのがあるの。一緒にやりましょう?』ニコッ

『うむ』

こうして簡単に三次元を模した世界、ROに来たのであった。

たまーにログインする程度なのだが。


成人後、彼女はひとり暮らしをし、

『私はもうお嬢様じゃないわ。あんな親大嫌いだし!

一般人よ。

だから「お嬢様」って言わなくていいわ。

「○○(本名)」って呼んで』


と、、言ったくせに

「○○」と呼んだ時、


パッシーン!!


『執事如きがどうして私を呼び捨てにすんのよっ!!』

と頭のおかしいことを言った。


そんな、すごいティルル。


(すごいね・・・)


今更離れられる訳もなく、(悪い麻薬的な意味で)

ティルルはアルキスと長く会えないと、「日本が大好きなのに長期旅行で外国に行ってお茶漬けが食べられなくなる日本人」状態になって

体に異変が起こって毎回大変なことになるが、


アルキスの方は「精神的な方」に来るようになってしまった。


肉体的な方なら「具合悪いんだな」と周囲はすぐに気付くが、

精神的なものは「疲れてるだけだよー」と言われるだけだし、何より目に見えないから

ま〜ったく気付いてもらえない。



別の国に行って宗教だのその国独自の倫理・哲学だのを聞かされて、

「日本人なら絶対受け入れられない。絶対」的なものをず〜〜〜っと強いられるようなものだ。

(全く興味のない新興宗教に無理矢理集団で連れて行かれ、集会所でずっと演説を聴かされて、そこから逃げられない状態)


アルキス『(食べ物なら何とか我慢出来るんだけども)』


・・・


ティルル


『ねぇアルキス聞いて』


今度、私ハイウィザードになるのよっ


憧れの衣装なのよ!



あなたなんて大っ嫌い!

ちょっと私が優しくしてやったからって!

柴犬に降格処分よ!



まだ自分で服を着ることも出来ない、お風呂に入ることもおぼつかない頃から面倒を見てきた。


アルキスは

孫がばーちゃんばーちゃん、って言ってくれていたのに、何年も訪ねてこなくなって寂しくなるばーちゃんの気持ちってこういうものなのかな・・・みたいなことを考えていた。


体に異変が出るだけならいいが、アルキスの場合は心に出る。


本当は、お嬢様と執事という時点で対等ではなかった。

精神と肉体が実は対等ではないように。


片方を失ったり、いない時間が長くなるとアンデット(ゾンビ状態)になるのは・・・


ティルルよりもむしろ、アルキスの方だった。

例えれば、ティルルの寂しさがカップラーメンだとすれば、アルキスは満漢全席ぐらいと言えよう。


ズズーッ(クラムチャウダー)


ティルルは今回は吐き気に出たかー


呑気に考えていた。

「(風邪もひいていたんだっけ)」



あなたなんて大っ嫌い!

ちょっと私が優しくしてやったからって!

柴犬に降格処分よ!


「(柴犬可愛いよなー)」


あのお嬢様にしてこの執事あり、である。


 

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