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崑崙山にて―1―

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喬一「そうは言ってもここは冷えますよ!」

エメライン「いいんです。防寒具はたくさん持ってきました!」

喬一「うーむ」


天界の中のひとつの山、崑崙山。


美織「なぁに〜? 喬一さん、お客さん?
珍しいね」


パタパタと、雲の階段から美織が降りてくる。


(※天界では 東洋系は「漢字表記」が一般的)


上を見上げるエメライン。


美織「あれぇ? えっと エメラインさん?もしかして」



エメラインは訳あって、人が普段は絶対に立ち入らない、立ち入れない崑崙山に来ていた。


王家の人間は、喬一を「護る」という義務を強いられている。

(※過去「茶色い犬」参照)



そういう絆というか縁というか。
そういうものがあるので、王家の人間は秘密の技法で普通は入れない崑崙山に入ることが出来るのである。

ただ、簡単ではなく色々複雑なことをしなければいけないのだが。


喬一「そういうのを全部やってきたのですか!」


やってきたのだ。


エメラインにはどうしてもここに来なければいけない理由があった。


身を隠すためである。


どのくらいの間、、そうしていなければいけないのか分からないが・・・



エメラインはハッとした。


エメライン「あ、もしかして! もしかしてお邪魔ですか?
おふたりで暮らして?いらっしゃるのに・・・」


美織「いやいや、大丈夫。
喬一さん普段いないから。
私と一緒にいよ?」


喬一「いれるのか!」


普通の人間がここにいたら寒さで下手したら凍傷、最悪凍死してしまう。

簡単に言う美織に喬一はびっくりした。


美織「そうねぇ・・・ どうしてもって時は暖かい街に連れていくし
何とかなるわよ
多分」


喬一「でも凍死したら大変ですよ!」


美織「んーそうねぇ・・・」


美織は考え込んだ。


仙人、花篠娘々である 喬一や美織は基本大丈夫なのだが、
(冬はさすがに暖かい所に移動する)
人間はいかに対策しようとも、例えば高山で生活するようなもので、
ここで暮らしていくのはやはりとても難しい。


美織「何とかならないかなぁ。
私さぁ、天界からずっと見てて、展開を見てきたのよ。
見守りたいなぁ」

喬一「展開?」


美織「エメラインさんとその、、王家の人とか。
旦那さんとか
娘さんとか」


喬一「ふむ」



ふたりのやりとりを見て、


「(やっぱ無理かなぁ・・・ でも、、 でもここしかないし・・・)」

と 不安になるエメライン。



喬一「旦那さん心配してますよ」


何かを見抜いたように喬一が言う。


エメラインは

「旦那さんてどっちの?」

自ら尻の軽さを表すような発言をする。


喬一「両方かな」


エメライン「あの、どっちの方が より心配していますかね・・・」


自分でも何言ってんだと思うエメライン。


美織「ジョセフの方って言ってもらいたいの?」


突然、美織がきつく言い放つ。


エメラインはびっくりした。

美織の、こんな冷たい声は初めて聞いたからである。



美織「あなたは、ジョセフジョセフ、って散っ々!言っておきながら、
別の男性の子供を身ごもったのよ!
あたしね! そういうの大っ嫌い!」


喬一がアチャー・・・とした顔をして苦々しく見守っている。


エメラインは、この正義感の強さ、、「レオン(長男)にそっくりだわ・・・」と驚いた。


美織「御免ー。・・・つい。 愛されたい愛されたいっていうのがさ
ちょっとね。
結構相手にひどいことしたんだから、ちょっとくらい苦しまなきゃ、くらい思って欲しいのよ」


エメラインは正論すぎて、何も言えなかった。


しかし、美織に怒ってもらって、同時に嬉しかった。


誰もこんなこと言ってくれないし、自分で気付こうにもアホなので気付けない。

ジョセフだって叱ってくれない。



喬一は落ち着きなくうろちょろうろちょろしていた。


それを見て、エメラインは 落ち着きのない時のジョセフを思い出した。


もう!デザートウルフ・・・生前、飼っていたデザートウルフを思い出しちゃうよ!

という美織。


そんなのいましたな、という喬一さん。


エメライン「(いいなぁ・・・)」

何となく、羨ましくてじぃっと見てしまう。


このふたりを見ていたい。



寒いけど、、、

ここにいたい、と思った。


 

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