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兄妹

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アルフォンス「さっきから空気だな、俺は」


そんなアルフォンスの言葉に、全く動じないふたり。


酒場を離れ、少し灯りの当たる草むら・・そして大きな樹のあるところに3人は座っていた。

アーシェとアイランと呼んで、、呼び合っていたふたり、、
つまり、銀髪のアサシンクロスとレンレンは何か話し合っている。


アルフォンスは最初こそは驚いて見守っていたが、段々とつまらなくなって、頭の後ろで腕を組んだ。


前世でふたりはどうやら恋人同士だったらしい。

かつての自分のことを棚に上げて、不良!と心で毒づくアルフォンス。


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アーロン大帝の時代、、

今の世の2つ前・・・


ふたりは恋人同士だった。


名前は アーシェとアイラン。


アーシェは物静かな男で長い長い銀髪をしていた。

アイランは数少ない東洋系で、大きな瞳をした美人だった。

(東洋表記:愛蘭、西洋読み:アイラン、東洋読み:あいらん)


アイランはアーシェとは逆で、自分の思ったことをハッキリ言う激情の人間だった。

ふたりは磁石のように引き合い、深く想い合った。


アーシェは母親に捨てられ、父親にも冷遇された過去を持っていた。

そんなアーシェを時には「しっかりしなさいよ!」と鉄拳をくらわし、
ある時には 優しく抱擁して温かく包んだ。

(温度差激しーなー)


そんなふたりだったが、、


アーロン皇帝がアイランを見初めたことで、ふたりの運命が変わってしまった。


その頃は大陸全土が貧しく、皇帝に見初められる、妾にされることはこの上ない名誉なことであった。

しかしアイランはその激しさのまま、愛に生きた。


アーシェは、、所詮ただの男だった。

権力の前に屈したのである。


「俺は皇帝陛下に逆らうことは出来ない」
「君だって皇帝陛下の元に行った方が幸せだろう」

「来世で一緒になろう」


「アーシェ、私を捨てるの?」


アイランは大粒の涙を流した。



アーシェ、私を捨てるの?


彼女の、どうしようもない悲しそうな顔は、アーシェの心に、細胞にしっかりと刻み込まれてしまった。



あの夢に出てくる黒髪の女性は、アイランであった。


悲しそうな泣き顔。


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クライヴ「ハッシシが好きな」

レンレン「ちょっとぉー 痛いとこ突かないでよー」

クライヴ「プロフェッサーなのに感心しないな、って良く注意したな」

(※プロフェッサー=セージ系の上位職)


レンレン「そうねぇ、プロフェッサーだったな」


クライヴは脚を伸ばした。


クライヴ「君の鉄拳痛かったよ」


うっ とした顔をして


レンレン「御免なさい・・・」


しゅーんとなる。


クライヴ「変わってないー。
気が強い、、って言ったら少し違うけど、ガーッてなるのに、すぐ謝る」


声が聞こえてきて、イライラしてくるアルフォンス。

そんな自分にもイライラする。


レンレン「私そんなに怒りっぽかった?」

焦って問うレンレン。

クライヴ「んー まぁ何ていうか 激しい人・・・とも違うか
ハッキリ言う人というか」

レンレン「んー・・・。だぁからこんな呪い、かけられちゃったンかもねぇ」


ふふふ、と笑うふたり。


クライヴ「あ、そういえば。今の君も出てきたよ。俺の夢の中に」

レンレン「っへー?」

クライヴ「今は、妹だったんだな」


ちょっとした沈黙の後。


レンレン「今はー、兄妹、なのね」



つぅことは


私、兄がいるの。

でも、兄は元々双子だって 噂聞いたことあるわ

ママとパパは必死に隠してるけどね。


私の能力でやっと見えた映像は、、

鳥だった


ビクッとするクライヴ。


少し無言になったが、


クライヴ「俺、鳥にさらわれて・・・いるんだよ」


3歳頃に。


うん、

と何となく分かっていたように頷くレンレン。


あのレオンお兄ちゃんの、、双子の弟なのね。


クライヴ「双子・・・」


遠くを見つめる。


会いたいとは思わない。


今は、今の幸せがある。


前世だって、

もう前世には戻りたくない。


今は今だ。


ごろん、と横になっていたレンレンがガバッと起き上がる。


レンレン「そんでさ」


私は呪いで10歳のまま、、

あなたとは「兄妹」・・・「血の繋がった兄妹」・・・


うん

あいづちを打つ。




ふと思い出す。


クライヴ「前に、喉が渇くの、って言う夢を見たんだ」

レンレン「喉が渇く?」

クライヴ「心配してたんだ。水でも、、ないのかって」


考え込んでレンレンが言った。

「愛情っていう水が足りなかったのよ」

ペロッと舌を小さく出す。


それを見てホッと安心するクライヴ。

困っていた訳ではないらしい。



そう言えば、という感じでふとアルフォンスを一瞥した。


「・・・今は幸せみたいだな」


レンレン「・・・まーね・・・」


鈴虫の声がいつも以上に激しい。

でも風はとても優しく吹いている。



レンレンは緊張して言った。


「お、おにーちゃん」


思いがけない言葉に少し驚くクライヴ。


レンレン「お兄ちゃん。・・・また会える?」


びっくりした顔をして、優しい顔に戻るクライヴ。


クライヴ「会えるよ。兄妹だろ?」


レンレン「・・・うん」



つまらない顔したアルフォンスを無視して、ふたりはいつまでも肩を寄せ合っていた。


 

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