現代ファンタジーのオンライン小説 - ものもの

もうひとりの

多くの小説にある通り、桜の樹ははかなげで美しいが、

一方で不気味というか、、恐ろしいもうひとつの一面も持ち合わせているというような主旨を描いている作品は多い。


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桜はその子の家に走り、その子の父親に会った。

昼間っからお酒を呑んでいて赤い顔をしていた。

お酒の瓶を投げる父親。

しかし桜は痛くなかった。

脳内麻薬物質でも出ていたのであろう。


実衣「も、分かった。ごめん。もういいから」

実衣とは、その呑んだくれの父親の娘である。

桜にずっと、理不尽な八つ当たりをしてきた人間であった。


やめてやめて、と止める実衣を、

ずっと無視する桜。


その父親は包丁を持ち出し、脅してきた。

動じない桜。

(すっごく恐いともう固まっちゃうらしい)


詰め合わせ的な暴力を散々受ける桜。

殴られる、蹴られる、髪の毛引っ張られる、そのまま壁に打ち付けられる。


こういう時抵抗したり恐がったりすると
「怖がってるぅ〜♪」と余計調子付かせてしまうことを知っていたから

桜はずっと無表情で貫いた。


実衣が警察を呼んできたが、警察官たちと仲良くなってしまった。

「まー収集が付かないようならまた来てよ あんま無理しないでね」

顔中血だらけで、一応は多少拭いたけど、傷だらけの自分を見ても動じないでフレンドリーに帰っていく警察官たちに「慣れてるからなのかな・・・汗」と桜は少し呆れてしまったが、

怒られなくて(とか牢屋に入れられなくて)良かった、と安心した。


(略)

正座して涙ぐみながらガタガタ震える その父親。

すごいことを言う桜。

何か言い掛けるごとに「言い訳は要らねぇっつってんだろ!」と言う桜に、

「で、でもあの・・・」と とにかく言い訳を言おうとする父親。

その繰り返しであった。


こういう人はとにかく「言い訳」を言いたがるらしい。

(何かの目安になるかもしれない)


この人は虫というか、下の下にいるから、、と自分に自己催眠を掛け、

二段上にいる私が怖がる必要はない、と桜は強く出ることが出来た。
(思い込みがとても激しいので、本気でそう思えた)


もちろん非暴力である。(当たり前だ・・・桜じゃネコパンチにしかならないだろう)


良くも辱めてくれたな(別にあれ系ではない)
それ相応の何かをやれよ

「な、何ですか」

間抜けなことを言うその父親。


桜「今すぐ道路に、、 いや車の人に迷惑掛かるから〜」
と優柔不断に悩み、


自身の首をぐっ!とつかみ、「これで、、アレしてくれる?」

と言った。

命で清算しろ、そういうことだ。

首を・・・首を・・・


普通の人は呆れるか、まぁとにかく「普通の人相応の対応」をするだろうし、
「この人はきっと精神疾患でも持っていてあれなんだ」
と判断して、

一気に緊張感が解けて恐怖が抜けていくだろう。


その父親は本当に言う通りにしようとした。

で、桜は「この人間はそうなって当然だから早く(略)」と この世からこの人間がいなくなるのを待った。

(この父親は、実の娘にああいうことをやっているのだ。つまりそういうことだ。
実の娘とは「実衣」である。
で、実衣は頭がおかしくなって、全然関係ない桜に理不尽な八つ当たりをしていた)


あの妙にフレンドリーな警察官を思い出して、

「殺人幇助で逮捕する!」

なんて言っていても、

「でもこれじゃあしょうがないよね。まぁ今回は見逃すから

少し落ち着いて行動してね」

なんて最終的には見逃してくれそう、と思って余裕を持っていた桜。

(どんだけフレンドリーだったんだ)


結局、眠くなってしまって(怒りすぎると眠くなる)

面倒臭くなった桜は

警察、、交番じゃなくて警察署、、県庁所在地のでかいところに言って全部しゃべったるから
(どういう方言)

このあんたから受けた傷全部証拠になるからな、

覚えとけよ?

と脅し、

帰った。(すぐに)


件の父親は数日後に行方知れずになった。

(元々そこら中を転々としている人だったらしい)


父親が恐くてどこかに避難していた実衣の母親が戻ってきて、実衣は多少安定した。


去年のお正月。

父親にあれなことを散々され、(じゃあ何故逃げなかったんだ。成人してるのに)

八つ当たり先を探して 全然親しくも何とも無い桜に いつも通り電話で理不尽なことを言っていた実衣。

「早く消えたらどうなの。世の中から」「いなくなりなさいよ」といつも通り。
(小学校からずっとこんな調子)


とうとう、桜の中で何かがブチッと切れて、こういうことになった。

いつものぼーっとした桜ではなくなった。


いつものほほんとしていて、全然関係ない、いじめられっ子(※いじめっ子じゃなくていじめられっ子」)にすら八つ当たりされるほど、弱そうなオーラをまとっていた、

桜。。


夜桜の妖しい輝き。

狂おしいほどの桜の花びらを撒き散らすかのように走って行った

あの日の桜。


あの寒い、並木道の木々にことごとく霜が降り、

「雪じゃないんだ・・・」と冷静に思いながら走っていった、

あの日の、、もうひとりの、、もうひとりの 口裂け桜・・・。


 

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