現代ファンタジーのオンライン小説 - ものもの

アクマは

結衣は、妹の妃奈が嫌だった。

ママー ママー

はいはい。しょうがないわね


本当は知っているのだ。

母親がいない時はちゃんとひとりでも出来る。

それなのに、母親がいる時は分からない振りをする。


ママぁ あたしこれ出来ないにょ



・・・

結衣、5歳。

妃奈、3歳。



妃奈はバカな振りをしているだけで

本当は腹黒い


すごく頭良いんだわ


ママのことだってバカにしてる

もちろんパパのことも 私のことも



可愛い顔をして


3歳のくせに


可愛い振りをして 大人を口を裂けながらニヤァ・・・と笑って

うふふふって

手を後ろに組みながら


きっと 去っていくのよ



皆を好きなだけ 好きなだけ利用して。



こんなことを 考える 結衣だって

頭が良いのかもしれない


違うのだ


そういう、頭の良い要素もあるのかもしれないが、


妃奈の毒気にあてられたのだ


子供はいつだって 大人の何倍も何倍も鋭い


気付かないことを当たり前のように気付く



妃奈の恐ろしさに気付いた時、

結衣は強制的に「考える」ことを強いられる形となり、、


こうして ある意味 頭が良くなった、、
ならざるをえなかったのかもしれない。



結衣は 妃奈を避けるようになった。


妃奈だって子供だ。
嫌われている、なんてすぐ気付く。


おねえちゃん あたしのこと嫌いなのお

泣く姿


誰もが「そんなことない!」って抱きしめたくなるような
愛しさが溢れている


違う!
結衣は くっと目をつぶった


あれは全部演技なのよ!


何て恐ろしいの


すっごく可愛い

可愛い


愛らしい


きっと誰もが可愛い、って思う

誰も気付かない



だから恐いのよう

結衣は両耳を塞いだ


あんなに完璧に演技出来るなんて気持ち悪いのお


姉の私だから分かるの

分かるのよ


幼稚園の先生が言っていた。


テンシとアクマの話を。


あの子はきっと「アクマ」よ


誰か代わって。

あれ以上泣かれたら私どうしていいか分からないよ



結衣は


そうだ。

姉だから。

姉、だから


アクマだろうが何だろうが


酷い人間だろうが、妹が好きなのだ。


そんなの、、当たり前なのだ。


だからきっと おねえちゃんきらわないで、なんて言われたら、、



結衣は涙をポロポロ流しながら、部屋で泣いた。



その様子を、



ドアの隙間から

妃奈が ニヤッ と見ていた。



もちろん、 それを 結衣も気付いていた。


母親がやってきた。

「妃奈ちゃん?」

妃奈を抱き上げ、そしてじーっと見た。



「ママ、なに?」

妃奈は言った。


それでも妃奈を見つめる母親。



ばしっ!と母親から離れる妃奈。


そして母親を蹴っ飛ばした。


パタパタパタ


走り去る妃奈。



ばぁか つぶやく母親。


スーッ


結衣が泣いている部屋のドアを開ける。



結衣。アレはバカだから気にしちゃ駄目よ


え?

振り向く結衣。


そこにはニタァと笑う母親がいた。





全てが全てではない。

が、

分かるだろうか。

絶対悪などという存在はめったに現れない。


本当の悪は・・・


 

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