現代ファンタジーのオンライン小説 - ものもの

心の中で。後編

希少種、「極端男児」。

零点どころかマイナス満点を取ってしまう悲劇の人であり、

同時に百点満点か、それ以上を必ず勝ち取る勇者でもある。

(温度差すげ〜)


東條夏彦。

そして恐ろしく勘が鋭いという動物的なところもある。

(6月22日生まれって何かあるんじゃ・・・)



コンッコンッ


分かっている人が来た。


何?

夏彦は入室OKの返事をした。


そーっと入ってきたのは勿論「清子」。


ドッカとじゅうたんの上に腰を据え、夏彦は切り出した。


「父親誰」


お兄ちゃんなら分かるか、、みたいな顔をして、
たいして驚かずに

無言を貫く清子。


「俺ね、関わるの嫌なんだよね

自分のこた自分で何とかしろよ」


いつも通りのきっつい口調。


それでも無言。

夏彦も分かっていた。

こういう時は空気読まずに機関銃のように撃てば必ず折れる。

「(見てろよ。ふふふ)」

(相性・・・良いんですね。分かってらっしゃる。相手を)



★部活の先輩(演劇部所属)
★彼女がいる
★私は本気


「相手は?」

「え?」

「相手は本気なのか?」

「・・・わ、分からない」


★今回のことは相手には知らせてない
★今後どうするかとか全然決めてない


夏彦は合理的にサッサッサとせっかちに言った。

「(表作って見せたいくらいなんだ。くっそ)」


1.命を殺した人間なんて、今後ロクな目に遭わない
絶対に人生終了する。これは俺の勘だ。

2.とりあえず生かす方向に持っていって、一時的に何処かに預かってもらう。

3.何処に預けるかは、殴られてもいいから両親と話して頑張って探せ

4.高校卒業したり学業が終わって経済力がついたら養え

5.その頃すでにもう嫌がられて懐かれなかったら諦めろ


「結!」

(結論、まとめると、の意味)


とりあえず生かせ。

それが兄ちゃんの意見だ。


清子は真逆の意見を言った。

普通ならここで「妹なんだから」と甘やかす・・・

優しく色々と諭す・・・


はずだ。


「おまえはさ、普通は母親に相談することを真っ先に俺に相談しにきたよな

それだけ信頼してくれてるんだよな」


「うん」


「だったら俺の意見は絶対だ。俺はおまえにとって王だ。

王の意見をそうやってひるがえすのか」

泣きそうになって少し震える清子。


無礼者。

虫に言うかのように心から軽蔑して言う夏彦(ひ、酷い・・・汗)。



清子は泣いた。

「わだじね、、おにいぢゃんのごど、、尊敬じでるの・・・

おにいぢゃんの意見は絶対だと、、思う・・・

極・・・端に言うのも・・・『わざと』なんだよね」


ぎくうっ!

夏彦は少しだけのけぞった。


「(こ、こいつには隠し事は出来ねぇっ、、汗)」


そして突然

すっごいニッコリ笑ったと同時に

でかいゴルゴの放った銃の弾のように

ドシン!!

とぶつかる勢いで

抱き付く  清子。


うふふふふふ

お兄ちゃんだ〜いすき


??


固まる夏彦。


そんなこと言ってる場合じゃないだろ!

(何か冷静)


少し体を離して清子が言った「あのねぇ」ニッコリをやめないで言う。

ずっとさ、わたしら心で会話出来ちゃったでしょ。


ある意味それ「つまんなかったの」

折角言葉もあるし・・・

「なんで??」って思う方がいいでしょ。

他人なんだから。


ペラペラしゃべる清子に、、目が真っ白になってゆく夏彦。


家族だけどね。

他人じゃないけどね。

でもきっと・・・他人でもお兄ちゃんとは相性良かったと思う。


悲劇でしょー

何でも分かっちゃう、、心の中で会話出来る、、家族でもある、、なんて・・・

「言葉とかそういうの要らなくなっちゃうのは極端だし」

「謎だって欲しい訳!」


誰だこいつは!

俺の知ってる清子じゃない!


色々分かってきたけど、雰囲気の違いにびびる夏彦。


ペロッと可愛い舌を出して


「どう?演劇部1年だけど、いい演技出来てた?」

女優に、なれるかしら?


夏彦は白旗を挙げる。


こういう時、無理にでも格好付けるのが日本男児だろう。

しかし彼は日本男児ではない。極端男児なのだ。

(そういう問題?)



・・・見事に。

下を向いて頭をポリポリ掻きながら、ため息も付かずに虚ろな目をする夏彦。


最初は〜

「失恋かな?」

って思わせて、次に、、縁側に座って、子供たちの笑い声を聞いて切なそうな顔をするの。

ぺらぺら


計算づくだった 演技の、、台本要素を惜しげもなく話す清子。


でもぉ

少し眉間にしわを寄せて  ムッとした顔で言う。


ちょっとぐらい妬いてくれても良かったと思うけど!

両手を腰に当てて、かなり大きい声で怒っている。


「(だまされた俺は怒っちゃ駄目なの?)」

疲れてそのまま後ろにバッタンと倒れたくなる夏彦。



100点満点を取れる勇者でもある夏彦。

人をだまそうと思えばそりゃだませるだろう。

そして逆に勿論だが「だまされた」ことなんてない。

子供の頃は別かもしれないが・・・。


「(も〜)」


心の中で盛大なため息を付きながら、


「(この!この俺様をだましやがって!!)」

とポキ〜リと脊髄だか何か、、背中の何かが折れたような気分を味わった。


こいつくらいだ!!

俺を完璧にだませるのは!!


相性が良いとは言ったが。


主導権を握っているのはどちらかになってしまう。

のであろう。

(それはしょうがない。両雄並び立たずという言葉もある。どんな場面でも
ふたつのものが平等に、というのは無理だ。そういう法則があるのだろう)


砂漠の〜サソリと〜

海の〜カニだったら〜


うーんうーん

ギリで 砂漠の方が過酷だから


「私が勝ったのね!」

ピースサインをする。


こいつをハサミでちょんぎってやろうかと思ったが


尻尾で毒をしこまれることを知っている夏彦は



「参りました」

と、将棋の対戦の時のように

ビシッ と頭を下げた。


次は〜

「お兄ちゃんが頑張ってね」

ニコッと笑う 清子。


「(だからさ 俺マイナス100点取らない主義なんだってば)」


泣きたくなる夏彦であった。


 

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