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中田課長との思い出

『地琉さん。

みんなあなたみたいな人じゃないわ。

怒鳴られても尊敬する、って上司の言い分をちゃんと聞こうしたり

何かあったら当事者にきちんと言って秘密を作らなかったり』


あの時の、中田課長の言葉。


『ほんっと使えない人!会社辞めたら??』


ああいうこと言っていた人なのに。


『地琉さん。

みんなあなたみたいな人じゃないわ』


中田課長・・・



いつも。

この季節になると思い出すんだ。


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中田課長また落ち込んでいる。

地琉 琳(ちる りん)はおろおろするしかなかった。


三木部長、本社に栄転ですねーっ

黄色い声。

「部長に会えないのって超イヤなんだけどっ!」

きゃあきゃぁ


琳は「(いつもの光景だなーっ)」と思った。


三木真(みきしん)は、中田千佳(なかたちか)の恋人だった。


琳は、中田の部下である。


クールで仕事が出来ていつも無表情な中田。


琳「(ああいう、女性になりたい!)」

どんなにひどい叱責をされても、中田を尊敬する琳である。


その中田がとても落ち込んでいて変なオーラを撒き散らしている。



「いいよなー 本社の重役の娘を嫁に出来るやつはよー」

「なーんか別にどうでもいいけどさ」」


お昼時。

男性社員の女性的な悪口が多発していた。




ウィーン ウィーン

ガチャッ


午後、すごい量のコピーをする琳。

いつも気を付けていても順番を間違えて

『適当にやるからでしょ!ぼーっとしてるんじゃないの!!』
とものすごく怒られる

・・・ほど間違えてばかりなので

今度こそ!と、何度も何度も間違えずにきちん、きちん、と束をまとめていった。



地琉(ちる)さん。

突然声が室内に響く。


ビグウ"ッ!

びびる琳。


見ると、隠れていたかのように、三木真がいた。


「(何故ここに?まさか不倫(まだ結婚してないけど)相手も傍にいるとか・・・)」


数秒経ち、、、

今すごく集中しているのに、、どっか行ってよ!オーラを出す。
早くしないと中田に何を言われるか。

『ほんっと使えない人!会社辞めたら??』

こういうことを言われる。(毎度のことだ)


中田課長に怒られるのよ!どっか行ってよ、誰と何してようが黙ってるから。
・・・と琳はイラつきながら 再度 用紙をまとめてクリップでとめ、、
などの作業をしていた。


「(あ、まだコピー全部終わってない)」

「(あっ!シールも、、貼らないといけないんだった。置きっぱなし。シール!)」




あの

真は言った。


1、本命は琳。
2、何度罵声を浴びせても琳に好かれる中田千佳がムカついたから手を出した
3、本社へ行こうと思ったきっかけは財力さえあれば振り向いてくれると思ったから

的なことを語った。


呆気に取られたが、、「(まぁ罰ゲームなんだろう。さっきまでお昼だったし)」と思い

「でも三木部長は今度ご結婚なさるんですよね?財力で振り向くって、、結婚するのに」
真面目に答える振りをする琳。


内心は

「(早くあっちいってよ〜〜!早く〜〜!一応この人部長だから強く言えないし〜〜っ!

あ〜〜っ!もううううううっ!!)」

と思っていた。

(当然だろう)


真は恐ろしいことを言った。

4、重役の娘、、結婚予定の相手はすごい遊び人
5、何かすごい証拠を掴んで、いかにも被害者ぶって別れるつもり
6、そうすれば「よくも娘を」と恨まれずに「申し訳なかった」と思われて出世に響かない

・・・

中田課長はこんな変な人のために心を痛めているんだ・・・

信じられない思いでいっぱいの琳だ。


「とりあえず出ていってもらえませんか。邪魔です」

ハッキリと言って シッシッと追い払う仕草をした。


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千佳「知ってたわ」

ハァッと小さくため息をついて言う千佳(中田課長)。

え?と思う琳。

コピー室。あなたお昼の後に良く行くから。

それで潜んでいたのね。


琳「・・・・・・?」

千佳「あなたのこと相当好きだったみたいよ」

呆れたような何とも言えないような声。


琳「あの、でもあんな部長だいっきらいです。女ったらしだし、か、仮に私を好きだと仮定して、、正面から言えないような気持ち悪い人。絶対いや!」

余程・・・嫌悪しまくってしまったのだろう。千佳でさえその威圧感でのけぞりそうだった。



地琉さん。

みんなあなたみたいな人じゃないわ。

怒鳴られても尊敬する、って上司の言い分をちゃんと聞こうしたり

何かあったら当事者にきちんと言って秘密を作らなかったり



千佳「世の中ね、そんな人ばかりじゃない訳」


だから、、憧れるのかもね。

ドアから出る、、その「清らかさ」に。


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中田千佳はそれからしばらくして会社を辞めた。


妊娠していたらしく、実家で子供を育てるらしい。


琳は、、ずっと落ちこぼれのままだった。
一生懸命頑張っているけど、能力が人並み以下だったから、ずっと出世せずにコマネズミのように動き回るだけ。であった。


三木真はイソギンチャクのようにくっついて回ったが、琳は徹底的に拒んだ。


・・・


その後も、上の方というか、高い立場の人間にことごとく好かれる琳。
(専務とか常務とか)


琳「(中田課長をあそこまで追い詰めた「男性」なんて私一生信じない)」


今日も

人並み以下の能力で働く琳であった。


 

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