現代ファンタジーのオンライン小説 - ものもの

芽生え

宇準基(ウ・ジュンギ)

原之野達也(はらののたつや)


ふたりはアメリカンスクールで出会った。

アメリカンスクールと言ってもアメリカ内ではなくドイツの、であったが。

英語が世界共通語だからであろう。世界各地にアメリカンスクールがある。


ウ・ジュンギは韓国人。

達也は日本人。


韓国についてテレビだとか各メディアだとかの情報ですっかり偏見を持っていた達也は

ウ・ジュンギのことを当初はとても警戒していた。


・・・


数学、物理、英語(英語を母国語としない外国人の必修科目)、歴史、文学、音楽・・・

スポーツ、美術


「(こいつはモンスター(怪物)だ!!)」

達也は思った。


ウ・ジュンギは全部トップだったのだ。


同じ人間とは思えない。

別の意味で頭おかしいんじゃないのか?
韓国人なら有り得る・・・(え)


達也は恐れおののいた。



ある時、歴史の授業で、「中国の科挙制度についてどう思うか」をテーマにした話し合いが行われた。

グループごとに分かれ、それぞれが意見を交換し合い

最後にグループでまとまった「意見」をそれぞれのグループが提出し、


後日、その全部のグループの意見を更にひとつにまとめる、というものだ。


そこで、
偶然にも達也とジュンギは意気投合してしまった。


授業の後、下にサッカーコートが見える大きな樹の下でふたりはもふもふとサンドイッチ、つまり昼食を食べながら話した。


日本語だったら遠慮して言えること、やんわり言えることを、

英語だったらそういう表現はないのでどうしてもストレートに言うことしか出来ない。


従軍慰安婦や強制労働は実は嘘で、捏造していた。

そんな嘘を何十年もして罪悪感は感じていないのか。

日本を嫌いだと言って日本の真似ばかりしている。

なのに、日本が真似していると嘘をつく。


日本の仏閣、、お寺や神社を破壊したり、大切な仏像、ご本尊を盗み、売ったりしていた。

神仏を敬う気持ちがないのか。


べらべらべらべら


英語だから全部言っちゃうもんねー!

と気分はアメリカーンな達也は身振り手振りも交えて
「あくまでボクはこう思うんだよ?(アメリカン〜な雰囲気)」

で語った。


折角の機会だ。生の韓国人から取材しよう。と。

プラス、少しでもいいから何だとー!と怒らせて何かこう、韓国人を傷つけたい。という気持ちである。

(これはしょうがないと思う・・・。何となく)


ジュンギ「知っている。・・・何故そういうことをするのだろう。裏の背景が僕には分からないんだ」

はぁっ??

達也は思った。


「背景もクソもあるかよ。何も考えずにやってんだろ?(アメリカンアメリカン!)

何も考えずにやってんだよ。理由なんかねーよ」


ジュンギ「僕は、優しい日本語の響きの方が好きなんです。日本語で話しましょう」

と 突然日本語(しかも流暢)で話すジュンギ。


・・・「え・・・日本語?」

「日本語、祖母から教わりました。少しなら話せるので」


『優しい日本語の響きが好きなんです』


「(悪い気はしない・・・)」


ジュンギ「色々とご迷惑をお掛けしているのは百も承知です。僕も憂いています。

何故そんな酷いことばかりするのか。

きっと遺伝子が呪われているのでしょうね」


さすがにここまで恐縮されると言葉が出てこない。


ハッ!

とする。

「(こいつはモンスター級の頭が良い奴だ!!)」

騙されてたまるか。


「二重人格者っているじゃないか。罪悪感なく人を だますっていうの。

しかも完璧に。

恐いよな。悪魔だよな」


静寂。


「何も知らないアホは だまされるんだ。
見抜ける奴は限られているから誰も信じない。そいつの言うことは。

少数派だしな。

みんな だまされていくんだ」


「君は、僕が嘘をついていると?」

ジュンギは言った。

・・・何の曇りもない、純粋な目。


思わず涙ぐみそうになった。

理由は分からなかった。


「可能性のひとつとして言っただけだよ。

断定している訳じゃない。

今日初めて話したばかりだし」


・・・

サッカーコートを見つめるジュンギ。


駄目だ。
どんな人間でも関わってはいけない気がする。
韓国人は危険だ。

夏でもないのに 何故こんなに頭がくらくらするんだ。

熱射病のような。けだるい。



ジュンギ「僕は 嘘をつく舌は持っていない」


険しそうな、そして果てしなく寂しそう目で遠く見る・・・

・・・

・・・

達也「ごめん。俺 偏見とか先入観とかで君を一方的に決め付けてたな」

ジュンギ「君らしくない。というか日本人らしくない。日本人なら人を決め付けるな。

韓国人を悪く言う程優れているなら、同じレベルに下るな。・・・そうだろ」


さすがにムッと来る。


達也「偉そうだな!悪かったよ!は、別にちょっと話しただけじゃないか。

俺たちは今日初めて話したばかりなのに分かりあえるかよ。

知ってて当然みたいな偉そうな言い方すんなよ」


分かって当然なんだよ

ジュンギは言った。


は・・・?

思わず声を上げる達也。

「(偉そうに・・・)」


しかしハッとする。さっきから自分は怒り狂っていて、逆にこいつは一貫して冷静だ。


「(俺何やってんだ・・・)」


祖母が日本人でした。

ジュンギが言う。

僕の父も母も・・・親戚も、、祖父も・・・みんな血気盛んで自分のことばかり優先していた。

祖母だけは、、とても優しい人で

もう亡くなったけど。
天使のような人でした。


もう会えないんです。
あんなにわがままを言ったのに。

一度も一度も恩返しが出来ないまま、、こうして僕は生きながらえている。

悲しくて悲しくて

だから 祖母の血を愛しているんです。僕はきっと、、たった1/4だけど ずっと忘れられない。
血が確かにずっと流れているから。ずっと流れるから。一生ずっ・・・


俺は

さえぎる。

「ばーちゃん変な奴だったから気持ち分かんねぇよ

で、、期待してるのか。「分かって当然」て。日本人に」

冷酷に言うのは、達也の祖母が鬼のような祖母だったからである。

達也に「祖母」の単語はNGワードであった。


くるっと振り向いた。

「そうですよ」子供のようにニッコリ笑うジュンギ。

無表情→ニッコリ(大)


ずっと忘れられないもの、事象。

僕にとっては日本がそうなんです。



うわー

日本人に生まれなくなかった!面倒臭い!
プレッシャー!!

逃げたいいぃぃぃいいぃ


と、、思う一方で、、「日本人としての誇り」と「韓国人にも亜種がいるから期待しよう」が芽生えていくのを感じる達也だった。


 

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